過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第28問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(製品ライフサイクルの基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(マーケティング戦略の基本)

問題文

製品ライフサイクルの各段階に対応したマーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。


成熟期に入ると市場はより多くの消費者に支えられるようになるため、技術的に、より複雑で高度な製品の人気が高まる。
導入期に他社に先駆けていち早く市場の主導権をとることが重要なので、投資を抑えつつ競合他社から明確に差別化された製品やサービスを導入期に投入することが望ましい。
導入期の主要顧客は市場動向や他者の行動を見ながら製品・サービスの購入を決める追随型採用者なので、このような消費者が抱える問題を解決できる製品・サービスを投入することが望ましい。
導入期や成長期において市場の業界標準が成立する場合、これに準拠する、または対抗するなど、成立した業界標準に対応したマーケティングを実行することが望ましい。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:×
 成熟期は市場が安定し、差別化よりもコスト競争やブランド維持が重要になる。複雑・高度な製品が必ずしも支持されるわけではない。

イ:×
 導入期は市場開拓のために積極的な投資が必要。投資を抑えるのではなく、認知拡大や普及のためのリスクを取る戦略が求められる。

ウ:×
 導入期の主要顧客は「イノベーター」や「アーリーアダプター」であり、追随型採用者(レイトマジョリティなど)は成長期以降に登場する。

エ:〇
 導入期や成長期に業界標準が成立する場合、それに準拠するか、あるいは差別化して対抗するかといった対応が重要。標準化は市場拡大や競争構造に大きな影響を与える。


学習のポイント

  • 製品ライフサイクルの段階
    ・導入期:市場開拓、イノベーター・アーリーアダプターが主要顧客。
    ・成長期:需要拡大、業界標準の成立、競争激化。
    ・成熟期:市場安定、差別化より効率性・ブランド維持が重要。
    ・衰退期:需要縮小、撤退やニッチ戦略が中心。
  • 業界標準の重要性
    ・標準化は市場の拡大を促進。
    ・標準に準拠するか、差別化で対抗するかが戦略上の分岐点。
  • 試験対策のコツ
    ・導入期=イノベーター、成長期=アーリーマジョリティ。
    ・「投資抑制」「追随型採用者=導入期」は誤り。
    ・「業界標準対応」が正解のポイント。