過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第34問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(消費者行動の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(関与と情報処理の理解)

問題文

消費者の情報処理や購買意思決定に影響をもたらす関与に関する記述として、最も適切なものはどれか。


関与とは製品カテゴリーに限定した消費者の関心度、重要度の程度のことである。
関与の水準は、消費者によって異なるが、当該消費者においては変動せず、安定的である。
高関与な消費者に対して、商品の金銭的・社会的リスクや専門性を知覚させることで、企業は自社が行うマーケティング・コミュニケーション活動への反応を高めることができる。
低関与である場合、消費者は購買したり、利用したりする前に、製品に対する慎重な評価を行う。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:×
関与は製品カテゴリーに限定されない。「個人的関連性」や状況要因によって高低が変わるため、カテゴリー固定の定義は不適切。

イ:×
関与には「永続的関与(関心が長期的)」と「状況的関与(場面で一時的に高まる)」があり、同一消費者でも文脈により変動する。

ウ:〇
金銭的・機能的・社会的リスクの知覚や専門性の高さは、情報処理の動機づけを高め、企業のコミュニケーション(説明・比較・証拠提示)への注意と反応を強化する。

エ:×
低関与では周辺ルートの処理や慣行購買が多く、事前評価は簡略化される。慎重な精緻化評価は高関与時に生じやすい。


学習のポイント

  • 関与の種類
    ・永続的関与:趣味や価値観に根差す長期的関心。
    ・状況的関与:高額購入や重要なイベントで一時的に関心が高まる。
  • 情報処理への影響
    ・高関与:中心ルートで精緻化(比較・根拠重視)。
    ・低関与:周辺ルート(ヒューリスティック、既視感、価格・単純手掛かり)。
  • マーケティング示唆
    ・高関与向け:詳細情報、比較表、第三者評価、保証。
    ・低関与向け:視覚訴求、単純メッセージ、リマインダー、店頭POP。
  • 試験対策のコツ
    ・「関与は変動する」ことを押さえ、永続的/状況的の区別を問われても迷わない。
    ・低関与=慎重評価は誤り。高関与で精緻化が進む。
    ・リスク/専門性は関与を引き上げ、コミュニケーション反応を高める。