過去問解説(財務・会計)_2019年(令和元年) 第22問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(MM理論とROE計算)
  • 正答率: ★★★☆☆(計算力が必要)
  • 重要度: ★★★☆☆(資本構成と企業価値)

問題文

A社は、5,000万円の資金を必要とする新規事業を始めようとしている。この投資により毎期300万円の営業利益を確実に得ることができ、この営業利益はフリーキャッシュフローに等しいものとする。今、5,000万円の資金を調達するために、次の2つの相互排他的資金調達案が提案されている。

MM理論が成り立つものとして、下記の設問に答えよ。

(第1案)5,000万円すべて株式発行により資金調達する。
(第2案)2,500万円は株式発行により、残額は借り入れにより資金調達する。なお、利子率は5%である。

(設問1)

第2案の自己資本利益率として、最も適切なものはどれか。ただし、法人税は存在しないものとする。

6%
7%
8%
12%

(設問2)

法人税が存在する場合、(第2案)の企業価値は(第1案)のそれと比べていくら差があるか、最も適切なものを選べ。ただし、法人税率は30%とする。

(第2案)と(第1案)の企業価値は同じ。
(第2案)の方が(第1案)より125万円低い。
(第2案)の方が(第1案)より125万円高い。
(第2案)の方が(第1案)より750万円高い。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)

解答

  • 設問1:イ(7%)
  • 設問2:エ(第2案の方が第1案より750万円高い)

解説

設問1:ROEの計算

  • 第2案では、株式調達=2,500万円、借入=2,500万円。
  • 営業利益=300万円。借入利息=2,500万円×5%=125万円。
  • 株主に帰属する利益=300−125=175万円。
  • 自己資本=2,500万円。
  • ROE=175/2,500=7%。
    → よって「イ」が正解。

設問2:MM理論による企業価値

  • MM理論(法人税あり)では、負債による節税効果(タックスシールド)が企業価値を増加させる。
  • 節税効果=負債×税率=2,500万円×30%=750万円。
  • よって第2案の企業価値は第1案より750万円高い。
    → 「エ」が正解。

学習のポイント

  • ROE計算:株主資本利益率=株主利益/株主資本。借入による利息控除後の利益を用いる。
  • MM理論:法人税がない場合、資本構成は企業価値に影響しない。法人税がある場合、負債による節税効果で企業価値が増加する。
  • タックスシールド:利息×税率で算出。負債が増えるほど節税効果も増える。