過去問解説(経営法務)_2020年(R2年) 第2問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)

問題文

株式会社の設立に関する記述として、最も適切なものはどれか。


株式会社を設立するに当たって、株式会社の定款に、発起人の氏名を記載又は記録する必要はない。
発起設立における設立時取締役の選任は、定款に別段の定めがない場合、発起人の全員の同意により決定する。
発起人が複数いる場合、発起設立の場合には発起人の全員が設立時発行株式を引き受けなければならないが、募集設立の場合には、発起人の一人が設立時発行株式を引き受ければよく、発起人全員が設立時発行株式を引き受ける必要はない。
発起人は、現物出資について裁判所選任の検査役の調査を経た場合、現物出資者又は当該財産の譲渡人である場合を除き、現物出資財産の不足額填補責任を負わない。

出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:エ
発起人は、現物出資について裁判所選任の検査役の調査を経た場合、現物出資者又は当該財産の譲渡人である場合を除き、現物出資財産の不足額填補責任を負わない。


解説

ア:×
定款には発起人の氏名を記載または記録する必要がある。これは会社設立の基本的要件であり、記載がなければ登記が認められない。

イ:×
設立時取締役の選任は、定款に別段の定めがない場合、発起人の「過半数の同意」により決定する。全員の同意は不要。

ウ:×
発起設立では、発起人全員が設立時発行株式を引き受ける必要があるが、募集設立でも発起人全員が引き受ける必要がある。発起人の一人だけでは足りない。

エ:〇
現物出資について裁判所選任の検査役による調査が行われた場合、発起人は原則として現物出資財産の不足額填補責任を負わない。ただし、発起人自身が現物出資者または譲渡人である場合は責任を免れない。


学習のポイント

  • 発起人の氏名は定款記載事項であり、設立の基本要件。
  • 設立時取締役の選任は、発起人の過半数同意で決定される。
  • 募集設立でも発起人全員が株式を引き受ける必要がある。
  • 現物出資に関する責任は、検査役の調査を経た場合に限定的に免除される。