難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(条文知識と制度比較が必要。)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
- 重要度:★★★★☆(議事録の管理・閲覧制度は頻出。)
問題文
監査役会設置会社において、実際に開催された株主総会及び取締役会の各議事録の比較に係る会社法(会社法施行規則を含む。)の規定に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、本問においては、いずれの議事録も書面により作成されているものとする。
ア
株主総会議事録、取締役会議事録のいずれも、出席した取締役及び監査役の全員が署名又は記名押印をする必要はない。
イ
株主総会議事録には株主総会が開催された日時及び場所を、取締役会議事録には取締役会が開催された日時及び場所を記載しなければならない。
ウ
株主総会議事録は株主総会の日から10年間本店に備え置かなければならないが、取締役会議事録は取締役会の日から5年間を超えて本店に備え置く義務はない。
エ
株主は、株主総会議事録、取締役会議事録のいずれも、裁判所の許可を得ることなく、株式会社の営業時間内はいつでも閲覧又は謄写の請求をすることができる。
出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:イ
株主総会議事録には株主総会が開催された日時及び場所を、取締役会議事録には取締役会が開催された日時及び場所を記載しなければならない。
解説
ア:×
株主総会議事録は議長および出席した取締役の署名または記名押印が必要。取締役会議事録は、出席取締役のうち議事録作成者と確認者が署名または記名押印する必要がある。全員不要という記述は誤り。
イ:〇
会社法施行規則により、株主総会・取締役会の議事録には、それぞれの開催日時および場所の記載が義務付けられている。正しい記述。
ウ:×
株主総会議事録は10年間本店に備え置く義務がある。取締役会議事録も5年間の備え置き義務があるため、「超えて備え置く義務はない」という記述は誤り。
エ:×
株主は株主総会議事録の閲覧・謄写を請求できるが、取締役会議事録の閲覧には原則として裁判所の許可が必要。両方を自由に閲覧できるという記述は誤り。
学習のポイント
- 議事録には開催日時・場所の記載が必須。
- 株主総会議事録は10年、取締役会議事録は5年の備え置き義務。
- 株主総会議事録は株主が閲覧可能だが、取締役会議事録は裁判所の許可が必要。
- 署名・押印の要件は議事録の種類によって異なる。