過去問解説(経営法務)_2020年(R2年) 第12問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(制度の違いを正確に把握しているかが問われる。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★☆☆(実用新案と特許の比較は基本論点。)

問題文

実用新案法と特許法の比較に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ただし、存続期間の延長は考慮しないものとする。


権利侵害に基づく差止請求を行使する場合、実用新案権は特許庁による技術評価書を提示する必要があるが、特許権は不要である。
実用新案権の存続期間は出願日から10年、特許権の存続期間は出願日から20年である。
実用新案出願は審査請求を行わなくとも新規性や進歩性などを判断する実体審査が開始されるが、特許出願は出願日から3年以内に審査請求を行わないと実体審査が開始されない。
物品の形状に関する考案及び発明はそれぞれ実用新案法及び特許法で保護されるが、方法の考案は実用新案法では保護されず、方法の発明は特許法で保護される。

出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ウ
実用新案出願は審査請求を行わなくとも新規性や進歩性などを判断する実体審査が開始されるが、特許出願は出願日から3年以内に審査請求を行わないと実体審査が開始されない。


解説

ア:〇
実用新案権に基づいて差止請求を行うには、技術評価書の提示が必要とされる。一方、特許権ではそのような要件はない。記述は正しい。

イ:〇
実用新案権の存続期間は出願日から10年、特許権は出願日から20年。記述は正しい。

ウ:×
実用新案は方式審査のみで登録され、実体審査(新規性・進歩性の判断)は行われない。特許出願は審査請求がなければ実体審査が開始されないが、実用新案出願に実体審査は存在しない。記述は不適切。

エ:〇
実用新案法では「物品の形状等」に関する考案のみが保護対象であり、方法の考案は対象外。方法の発明は特許法で保護される。記述は正しい。


学習のポイント

  • 実用新案は無審査登録制度であり、実体審査は行われない。
  • 特許は審査請求が必要で、期限内に請求しないと審査されない。
  • 実用新案権の行使には技術評価書の提示が必要。
  • 方法の発明は特許法で保護されるが、実用新案法では対象外。
  • 存続期間は実用新案が10年、特許が20年。