過去問解説(経営法務)_2020年(R2年) 第14問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(制度の構造理解と条文趣旨の把握が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(営業秘密・デッドコピー・限定提供データは頻出。)

問題文

不正競争防止法に関する記述として、最も適切なものはどれか。


不正競争防止法第2条第1項第3号に規定するいわゆるデッドコピー規制による保護期間は、日本国内において最初に販売された日から起算して5年を経過するまでである。
不正競争防止法第2条第1項第4号乃至第10号で規定される営業秘密とは営業上の情報のみならず、技術上の情報を含む。
不正競争防止法第2条第1項第4号乃至第10号で保護される営業秘密となるためには、秘密管理性、有用性、創作性が認められる必要がある。
不正競争防止法第2条第1項第4号乃至第10号で保護される営業秘密は、条件を満たせば不正競争防止法第2条第1項第11号乃至第16号で保護される限定提供データにもなる。

出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:イ
不正競争防止法で規定される営業秘密とは、営業上の情報のみならず、技術上の情報を含む。


解説

ア:×
デッドコピー規制による保護期間は、最初に販売された日から3年である。5年という記述は誤り。

イ:〇
営業秘密には、営業上の情報(顧客リスト、販売戦略など)だけでなく、技術上の情報(製造方法、設計図など)も含まれる。正しい記述。

ウ:×
営業秘密として保護されるためには、「秘密管理性」「有用性」「非公知性」が必要であり、「創作性」は要件ではない。記述は誤り。

エ:×
営業秘密と限定提供データは別の保護対象であり、条件を満たしても自動的に相互に該当するわけではない。記述は誤り。


学習のポイント

  • 営業秘密は営業上・技術上の情報を含み、企業の競争力の源泉となる。
  • 保護要件は「秘密管理性」「有用性」「非公知性」の3つ。
  • デッドコピー規制の保護期間は3年。短期保護で迅速な対応が求められる。
  • 限定提供データは営業秘密とは別枠で保護される新しい概念。
  • 不正競争防止法は、知的財産権では保護しきれない実務上の権利を補完する役割を持つ。