過去問解説(企業経営理論)_2020年(令和2年) 第13問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(標準化とネットワーク外部性の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(競争優位の獲得手段)

問題文

デファクト・スタンダードやネットワーク外部性に関する記述として、最も適切なものはどれか。


デファクト・スタンダードの確立には、ISO のような国際的な標準化機関が重要な役割を果たすことから、これらの機関での調整や協議を進めることが、デファクト・スタンダードの獲得に向けた中心的な方策となる。
デファクト・スタンダードは、パーソナルコンピュータやスマートフォンの OS(基本ソフト)のようなソフトウェアにおいて重要な役割を果たすものであり、情報技術が関わらない領域では生じない。
デファクト・スタンダードは製品市場における顧客の選択を通じて確立するために、競合する製品や規格の中で、基本性能が最も高いものが、デファクト・スタンダードとしての地位を獲得する。
当該製品のユーザー数の増加に伴って、当該製品において補完財の多様性が増大したり価格が低下したりすることで得られる便益は、ネットワーク外部性の直接的効果と呼ばれ、間接的効果と区分される。
ネットワーク外部性を利用して競争優位を獲得するためには、ユーザー数を競合する製品や規格よりも早期に増やすことが、有効な方策となる。

出典: 中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:オ


解説

ア:×
 ISO などの国際標準化機関が関与するのは「デジュール・スタンダード」であり、デファクト・スタンダードは市場での普及によって決まる。

イ:×
 デファクト・スタンダードは情報技術分野に限らず、VHSやQWERTY配列など非IT領域でも成立する。

ウ:×
 必ずしも性能が最も高い製品が勝つわけではない。普及の速さや補完財の充実などが決定要因となる。

エ:×
 ユーザー数増加による補完財の多様化や価格低下は「間接的ネットワーク外部性」であり、直接効果ではない。

オ:〇
 ネットワーク外部性が働く市場では、ユーザー数の先行獲得が競争優位につながる。早期普及戦略が有効。


学習のポイント

  • デファクト・スタンダード
    ・市場での普及によって事実上の標準となる。
    ・必ずしも性能が最優先ではなく、普及速度や互換性が重要。
  • ネットワーク外部性
    ・直接効果:ユーザー数増加で利用価値が高まる(例:電話網)。
    ・間接効果:補完財の多様化や価格低下による便益増大。
  • 試験対策のコツ
    ・「デジュール=機関決定」「デファクト=市場決定」
    ・「早期普及=競争優位」この2点を押さえると解きやすい。