過去問解説(企業経営理論)_2020年(令和2年) 第18問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(集団ダイナミクスとリーダーシップ)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(帰属・威信とリーダーシップの整合)

問題文

組織メンバーの帰属集団に対する一体化とリーダーシップに関する記述として、最も適切なものはどれか。


集団の凝集性が高いほど、個人が集団の意思決定に参加していると感じる程度が低くなり、集団圧力が弱くなるので、公式の権限に基礎を置くリーダーシップが有効になる。
集団の中で個人の欲求が充足される程度が高くなると、特に集団の目標に一体化する必要がなくなるので、集団内の相互作用を支援するようなリーダーシップが必要になる。
組織の外部に参加することができる代替的選択肢を持っているメンバーは、帰属集団の目標への一体化の程度が高くなるので、集団外部の人々と交流を促すリーダーシップが有効になる。
他の集団との競争が激しくなる中で、帰属集団の威信が高くなると、集団に対する一体化の程度が強くなるので、上位集団や他の集団に対する影響力を持ったリーダーシップが有効になる。

出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:×
 凝集性が高いほど同調圧力は強まりやすく、公式権限中心のリーダーシップが有効になるとは言い難い。

イ:×
 欲求充足が高い集団では満足やコミットメントが高まりやすい。「一体化する必要がなくなる」は不適切。

ウ:×
 外部選択肢が多いほど離脱コストが低下し、一体化は弱まる傾向がある。

エ:〇
 対外競争の激化×集団威信の上昇は、集団へのアイデンティフィケーションを強める。上位集団や他集団へ影響力を及ぼすリーダーシップが有効。


学習のポイント

  • 帰属・威信とリーダー像:
    集団威信が高まり、外部競争が激化すると、メンバーの一体化が強化される。
    この状況では、外部に対して交渉力や影響力を発揮できるリーダーが効果的となる。
  • 凝集性・選択肢・コミットメント:
    凝集性が高いほど同調圧力が強まり、一体化が促進される。
    一方で、外部に代替的選択肢を持つメンバーはコミットメントが弱まりやすい。
  • 試験対策のコツ:
    「威信↑×競争↑=外向きリーダー」
    「外部選択肢↑=一体化↓」
    「凝集性↑=権限より規範・影響」
    と整理して覚えると解きやすい。