難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(コンピテンシーの定義と範囲)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(採用・評価・育成の基準)
問題文
近年の日本では、従業員や求職者が企業にどれだけ貢献できるかについて、採用、能力開発、処遇などの面で、測定・把握しようという動きがある。そのような中で関心が集まっている概念に「コンピテンシー(competency)」がある。
コンピテンシーに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
実際にあげられた顕著な個人的成果は、因果に関わりなく、コンピテンシーに含まれる。
イ
性格やパーソナリティについては、直接的に観察することが難しいため、コンピテンシーには一切含まれない。
ウ
組織内外の人々との関係性の中で培われた肯定的な評判によって達成された職務上の高い成果や業績は、コンピテンシーに含まれる。
エ
組織の成果に結びつく同僚支援という行動特性は、コンピテンシーに含まれる。
出典: 中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:エ
解説
ア:×
成果そのものは「アウトカム」であり、因果に関係なく成果をコンピテンシーに含めるのは誤り。コンピテンシーは成果を生む行動特性・基礎特性を指す。
イ:×
性格・パーソナリティ(特性・自我概念・動機)は「基礎的特性」としてコンピテンシーに含まれ得る。観察困難でも構成概念として扱う。
ウ:×
評判や業績は結果・評価であり、本人の行動特性そのものではない。関係構築という行動がコンピテンシーで、評判というアウトカムは含まれない。
エ:〇
同僚支援のような、組織成果に結びつく具体的な行動特性はコンピテンシーに該当する(協働・支援・関係構築の行動)。
学習のポイント
- コンピテンシーの定義:
仕事で高い成果を生む「行動特性」や、それを支える「動機・特性・自我概念・知識・技能」の総体。 - 成果と行動の区別:
成果(アウトカム)は結果であり、評価対象。コンピテンシーはその結果を生む原因側(行動・特性)である。 - 評価で見るべき点:
行動の再現性(いつ・どの状況で・どの程度)、因果の妥当性、組織戦略との整合(求める成果を生む行動か)。 - 試験対策のコツ:
「行動=含まれる/結果=含まれない」「特性・動機は含まれ得る」と切り分ける。