難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(36協定と上限規制の基礎)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(人事・労務の必須知識)
問題文
労働基準法第36条の手続きによる労使協定(以下「36協定」という)によって、法定労働時間を延長して労働させることができる時間外労働(ないし時間外労働に休日労働を加えた時間)の上限に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
なお、本問中、建設事業、自動車運転手、医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造事業については考慮に入れないものとする。
ア
違反に対して罰則が適用される時間外労働(ないし時間外労働に休日労働を加えた時間)の上限に関する規定は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務についても適用される。
イ
時間外労働の限度時間は、原則として1か月について45時間及び1年について360時間(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制にあっては、1か月について42時間及び1年について320時間)である。
ウ
事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に原則としての限度時間を超えて労働させる必要がある場合においては、36協定に特別条項を付加することができるが、それによって労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間は、1か月について100時間未満の範囲内に限られ、並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間は720時間を超えない範囲内に限られる。
エ
使用者は、36協定の定めるところによって労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であっても、1か月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間は、100時間未満でなければならない。
出典: 中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ア
解説
ア:×(不適切)
研究開発業務は、上限規制(罰則付きの720時間等)の適用対象外とされる特例があるため、「罰則が適用される上限規定がR&Dにも適用」とするのは誤り。
イ:〇
原則の限度時間は「月45時間・年360時間」。1年単位の変形労働時間制(対象期間が3か月超)の場合は「月42時間・年320時間」とされる。
ウ:〇
特別条項付き36協定でも、月の時間外+休日労働は「100時間未満」、年の時間外労働は「720時間以内」が上限。
エ:〇
36協定に基づく延長や休日労働がある場合でも、1か月の合計(時間外+休日)は「100時間未満」でなければならない。
学習のポイント
- 原則の上限:
月45時間・年360時間(変形制は月42・年320)。 - 特別条項の上限:
月100時間未満(休日含む)・年720時間以内。 - 適用除外の理解:
研究開発業務は罰則付き上限規制の適用外(健康確保措置などは別途必要)。 - 試験対策のコツ:
「原則45/360」「特別100未満/720」「R&Dは罰則上限の適用外」をセットで覚える。