過去問解説(企業経営理論)_2020年(令和2年) 第30問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(広告戦略の基礎理解)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(広告予算の実務理解)

問題文

広告に関する記述として、最も適切なものはどれか。


BtoBマーケティングのコミュニケーションにおいては、受け手は特定少数の顧客であるため、広告は不要である。
広告効果階層モデルのうち「DAGMARモデル」は、Desire,Attention,Grade,Memory,Action,Recommendationを意味し、近年のオンライン上の消費者行動を表す。
広告予算の算出方法には売上高比率法、競争者対抗法、タスク法などがあるが、これらのどれも用いずに、単純に前期の広告予算実績に基づいて広告予算を決めている企業も多い。
テレビCMでメッセージを途中まで流し、「続きはこちらで」などとして検索ワードを表示しWebに誘導しようとする方法は、「ステルス・マーケティング」として非難される場合が多く、消費者庁も注意を喚起している。

出典: 中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:×
 BtoBマーケティングでも広告は重要な役割を果たす。展示会や業界誌、オンライン広告などを通じて認知を高める必要があるため、「不要」とするのは誤り。

イ:×
 DAGMARモデルは「Defining Advertising Goals for Measured Advertising Results」の略であり、Attention, Comprehension, Conviction, Actionのプロセスを示す。設問の記述は誤り。

ウ:〇
 広告予算の算出方法には売上高比率法、競争者対抗法、タスク法などがあるが、実務上は単純に前期実績を踏襲する「踏襲型予算決定」を行う企業も多い。

エ:×
 テレビCMからWebへ誘導する手法は「クロスメディア広告」や「連動型広告」であり、ステルスマーケティングとは異なる。ステルスマーケティングは広告であることを隠す行為を指す。


学習のポイント

  • 広告予算の算出方法:
    ・売上高比率法=売上に一定比率をかける。
    ・競争者対抗法=競合の広告費を参考にする。
    ・タスク法=達成すべき目標から逆算して算出。
    ・実務では「前年踏襲型」も多い。
  • 広告効果モデル:
    ・AIDMA(Attention, Interest, Desire, Memory, Action)
    ・AISAS(Attention, Interest, Search, Action, Share)
    ・DAGMAR(Attention, Comprehension, Conviction, Action)
  • 試験対策のコツ:
    広告関連の用語は混同しやすいので、モデル名とプロセス、予算算出法の特徴を整理して覚える。