過去問解説(企業経営理論)_2020年(令和2年) 第31問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(デジタル・マーケティングの基礎理解)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(現代マーケティングの必須知識)

問題文

デジタル・マーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。


O2O戦略は、デジタル時代の消費者がオンラインとオフラインを行き来し、認知・検討と購買が分離する傾向があるという問題への企業による対応策の1つである。
クラウドソーシングにより製品開発を行おうとする企業が、そのために開設するネットコミュニティにおいては、参加者同士のコミュニケーションが活発に行われなければ、製品開発は成功しない。
プラットフォーマーとは、異なる複数のユーザー・グループを結びつけ、交流させて価値を創出しつつ、同時にこれらのユーザー・グループに向けて自社の製品・サービスの販売も行う事業者を指す。
ユーザーにとってのプラットフォームの価値は、ユーザー間のネットワーク効果によって作り出されるものであり、プラットフォーム自体によって作られるものではないから、プラットフォームを切り替えても特にスイッチングコストは発生しない。
レンタルでは製品の貸し手は自社で保有する製品を貸し出すが、シェアリング・サービスは製品を所有するユーザー間をマッチングするだけであり、シェアリング・サービスの事業者が製品を所有することはない。

出典: 中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
 O2O(Online to Offline)戦略は、オンラインでの情報収集や比較検討と、オフラインでの購買行動が分離する傾向に対応する施策であり、適切な記述。

イ:×
 クラウドソーシング型の製品開発では、参加者同士の交流が必須条件ではなく、アイデアや知識の提供があれば成功する場合もある。

ウ:×
 プラットフォーマーは異なるユーザー群を結びつけるが、自社製品販売を必ず行うわけではない。むしろ中立的な場を提供することが多い。

エ:×
 プラットフォームにはネットワーク効果があり、ユーザー数が増えるほど価値が高まるため、切り替えにはスイッチングコストが発生する。

オ:×
 シェアリング・サービス事業者が製品を所有する場合もあり、必ずしも「所有しない」とは限らない。


学習のポイント

  • O2O戦略:
    オンラインでの認知・検討とオフラインでの購買をつなぐ施策(例:クーポン配布、店舗誘導)。
  • クラウドソーシング:
    参加者同士の交流は必須ではなく、知識・アイデアの提供が重要。
  • プラットフォーム:
    ユーザー間のネットワーク効果が価値を生み、スイッチングコストを高める。
  • シェアリング・サービス:
    事業者が必ずしも製品を所有しないとは限らない。マッチング型と所有型の両方が存在する。
  • 試験対策のコツ:
    デジタル・マーケティング用語は混同しやすいので、O2O・OMO・プラットフォーム・シェアリングの違いを整理して覚える。