難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(IS-LMと利子弾力性)
- 正答率: ★★★☆☆(曲線形状の直感)
- 重要度: ★★★★☆(政策効果の判定)
問題文
下図は、IS曲線とLM曲線を描いたものである。この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問1)
IS曲線が垂直になる例として、最も適切なものはどれか。
ア
貨幣需要の利子弾力性がゼロである。
イ
貨幣需要の利子弾力性が無限大である。
ウ
投資需要の利子弾力性がゼロである。
エ
投資需要の利子弾力性が無限大である。
(設問2)
IS曲線が垂直であるときの財政政策と金融政策の効果に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a
金融緩和政策は、LM曲線を右方にシフトさせる。これによって利子率が低下するが、投資が増加しないため、GDPは増加しない。
b
金融緩和政策は、LM曲線を右方にシフトさせる。これによって利子率が低下し、投資が増加するため、GDPは増加する。
c
政府支出の増加は、IS曲線を右方にシフトさせる。このとき、利子率は上昇するが、クラウディング・アウトは発生せず、GDPは増加する。
d
政府支出の増加は、IS曲線を右方にシフトさせる。このとき、利子率が上昇し、投資が減少するが、GDPは増加する。
〔解答群〕
ア
aとc
イ
aとd
ウ
bとc
エ
bとd
出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)
解答
- 設問1:ウ
- 設問2:ア
解説(設問1)
- ア:×
貨幣需要の利子弾力性がゼロの場合、LM曲線が急傾斜〜垂直に近づく。IS曲線の形状には直接関係しない。 - イ:×
貨幣需要の利子弾力性が無限大(流動性のわな)ではLM曲線が水平化する。IS曲線の垂直化とは無関係。 - ウ:〇
投資需要の利子弾力性がゼロなら、金利が変化しても投資が変わらず、GDPは金利に依存しないためIS曲線は垂直になる。 - エ:×
投資需要の利子弾力性が無限大なら、わずかな金利変化で投資が大きく変動し、IS曲線は水平に近づく。
解説(設問2)
- a:〇
金融緩和政策はLM曲線を右方にシフトさせ、利子率を低下させる。しかし投資が金利に依存しない(IS垂直)ため、GDPは増加しない。 - b:×
金融緩和で投資が増加するのは投資が金利感応的な場合。IS垂直の仮定と矛盾する。 - c:〇
政府支出の増加はIS曲線を右方にシフトさせる。IS垂直なら投資は金利に依存せずクラウディング・アウトは発生せず、GDPは増加する。 - d:×
IS垂直では投資は金利に依存しないため、投資減少は起こらずクラウディング・アウトは発生しない。
学習のポイント
- ISの垂直化条件: 投資の金利非感応(利子弾力性ゼロ)。
- LMの形状: 貨幣需要の利子弾力性で決まる。
- 政策効果: IS垂直では金融政策はGDPに効果なし、財政政策はGDPを直接押し上げる。
- クラウディング・アウト: 投資が金利感応でない場合は発生しない。