難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(補助金による供給シフトと余剰分析)
- 正答率: ★★★☆☆(領域の読み分けが必要)
- 重要度: ★★★★☆(政策評価:政府支出・余剰配分)
問題文
農業保護を目的とした農家への補助金政策の効果を考える。下図において、Dは農産物の需要曲線、Sは補助金交付前の農産物の供給曲線、S’は補助金交付後の農産物の供給曲線である。政府は、農産物1単位当たりEFまたはHGの補助金を交付する。
この図に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a
政府が交付した補助金は四角形ACFEである。
b
補助金の交付によって、消費者の余剰は四角形ABGEだけ増加する。
c
補助金の交付によって、総余剰は三角形EFGだけ増加する。
d
補助金の交付によって、農家の余剰は四角形BCFGだけ増加する。
〔解答群〕
ア
aとb
イ
aとc
ウ
bとc
エ
bとd
出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)
解答
- 正解:エ(bとd)
解説
- a:×
政府の補助金支出は「1単位あたりの補助金×補助金交付後の取引量」の長方形で表されるが、四角形ACFEは図の価格差・数量の対応が合わず、政府支出の領域指定として不適切。 - b:〇
供給曲線がSからS’へシフトすると市場価格が低下し、消費者余剰は価格低下分と数量拡大分の長方形+三角形で増加する。図では増加分が四角形ABGEとして示されており、消費者余剰の増加領域の特定が正しい。 - c:×
補助金は一般に死荷重(政府支出が純便益を上回る部分)を生みうるため、総余剰が三角形EFGだけ「増加」とする断定は誤り。EFGは価格差に起因する移転やコスト部分を含んでおり、純増の領域ではない。 - d:〇
農家(生産者)余剰は供給シフトにより生産者が受け取る価格・販売量の組み合わせが改善し、増加分が四角形BCFGで表される。領域指定が図の記号と整合する。
学習のポイント
- 補助金の帰着: 消費者余剰と生産者余剰の双方が増えるが、その原資は政府支出(納税者負担)。
- 総余剰の評価: 外部性の内部化など特別な事情がない限り、補助金は純便益を増やすとは限らず、死荷重が生じる。
- 図形の確認: 価格低下に伴う消費者余剰増は長方形+三角形、供給者の受益は価格差と数量拡大分の長方形で示される。