難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(外部性と課税の余剰分析)
- 正答率: ★★★☆☆(図形の読み取り力が必要)
- 重要度: ★★★★☆(外部費用の内部化と政策評価)
問題文
オーバー・ツーリズムによる地域住民の生活への悪影響に対して、政府が税を使って対処することの効果を考える。下図において、Dはこの地域の観光資源に対する需要曲線、Sは観光業者の私的限界費用曲線、S’はオーバー・ツーリズムに伴う限界外部費用を含めた観光業者の社会的限界費用曲線である。

〔設問〕この図に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a
課税によって、観光客の余剰は四角形BCJGだけ減少する。
b
課税によって、観光業者の余剰は四角形EFHGだけ減少する。
c
課税によって、この地域の総余剰は三角形GJIだけ増加する。
d
課税によって、政府は四角形EFJIの税収を得る。
〔解答群〕
ア
aとb
イ
aとc
ウ
bとc
エ
bとd
出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)
解答
- 正解:イ(aとc)
解説
- a:〇
課税により価格が上昇し、観光客の支払価格が高くなることで消費者余剰が減少。図ではBCJGがその減少分として示されており、正しい。 - b:×
観光業者の余剰減少はEFHGではなく、EFJIから税収分を除いた領域である。EFHGは税収も含むため、業者の純粋な余剰減少とは言えない。 - c:〇
課税により外部費用を内部化し、過剰な観光量が抑制されることで、地域全体の純便益(総余剰)は三角形GJIの分だけ増加する。これは死荷重の解消に相当する。 - d:×
政府の税収はEFJIであるが、これは観光業者から徴収されたものであり、業者の余剰減少と重複する。選択肢bが誤りである以上、dとの組み合わせも不適切。
学習のポイント
- 外部性の内部化: 社会的限界費用(SMC)に合わせて課税することで、市場均衡が社会的に望ましい水準に調整される。
- 課税の効果: 消費者余剰・生産者余剰は減少するが、死荷重が解消されることで総余剰が増加する場合がある。
- 税収の帰着: 政府の税収は一部の余剰減少を吸収する形で発生するが、それが社会的便益に転換されるかは別途評価が必要。