過去問解説(財務・会計)_2020年(令和2年) 第24問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(MM理論の前提理解)
  • 正答率: ★★★★☆(前提が鍵)
  • 重要度: ★★★☆☆(資本構成の基本理論)

問題文

モジリアーニとミラーの理論(MM 理論)に関する記述として、最も適切なものはどれか。ただし、投資家は資本市場において裁定取引を円滑に行うことができ、負債にはリスクがなく、法人税は存在しないと仮定する。

PER(株価収益率)は、無借金の方が負債で資金調達するよりも小さくなる。
企業の最適資本構成は存在し、それによって企業価値も左右される。
企業の市場価値は、当該企業の期待収益率でキャッシュフローを資本化することによって得られ、資本構成に影響を与える。
投資のための切捨率は、資金調達方法にかかわりなく、一意に決定される。

出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)

解答

正解:


解説

ア:×
PERが資本構成によって体系的に小さくなるとはいえない。MM理論(税なし前提)では、企業価値は資本構成に依存しない。

イ:×
「最適資本構成が存在する」というのは法人税や負債コストを考慮した現実世界の議論。税なし・負債リスクなしの前提では最適資本構成は存在しない。

ウ:×
企業価値は事業キャッシュフローのリスクで決まる。資本構成が企業価値に影響するというのはMM理論の前提に反する。

エ:〇
MM命題Ⅰ(税なし)によれば、投資のための割引率(切捨率)は資金調達方法にかかわらず一意に決まる。資本構成は企業価値に影響を与えない。


学習のポイント

  • MM命題Ⅰ(税なし):企業価値は資本構成に依存しない。
  • MM命題Ⅱ(税なし):レバレッジが上がると株主期待収益率は上昇するが、企業価値は不変。
  • 法人税や破産コストを考慮すると「最適資本構成」が議論されるが、本問は理想条件下の命題Ⅰが前提。