過去問解説(経営法務)_2021年(R3年) 第10問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(特許制度の基本構造に関する頻出論点。)

問題文

特許法の規定に関する記述として、最も適切なものはどれか。


2以上の発明は、いかなる場合も1つの願書で特許出願をすることはできない。
願書には、明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書をすべて必ず添付しなければならない。
特許請求の範囲に記載する特許を受けようとする発明は、発明の詳細な説明に記載したものであることが必要である。
特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載する必要はない。

出典:中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ウ
特許請求の範囲に記載する発明は、発明の詳細な説明に記載されたものである必要がある。


解説

ア:×
複数の発明であっても、技術的に関連がある場合など一定の条件を満たせば、1つの願書で特許出願することが可能。記述は誤り。

イ:×
願書に添付すべき書類は、出願内容や発明の性質によって異なる。図面や要約書は必須ではない場合もあるため、「すべて必ず添付しなければならない」という記述は誤り。

ウ:〇
特許請求の範囲に記載する発明は、発明の詳細な説明に記載されている必要がある。これは、発明の技術的内容を明確にし、出願人の権利範囲を適切に定めるための基本的な要件。正しい記述。

エ:×
特許請求の範囲には、発明を特定するために必要な事項をすべて記載する必要がある。請求項ごとに明確に記載することが求められており、「記載する必要はない」という記述は誤り。


学習のポイント

  • 特許請求の範囲は、発明の技術的内容と権利範囲を明確にするための中心的な要素。
  • 発明の詳細な説明と特許請求の範囲は整合している必要がある。
  • 願書に添付する書類は、発明の種類や出願形式によって異なる。
  • 複数発明の一括出願は、一定の条件下で認められる。