難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★☆☆☆☆(企業戦略の基礎)
- 正答率: ★★★★☆(正答率75%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(多角化の動機・資源観)
第1問
多角化に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
企業における多角化の程度と収益性の関係は、その企業が保有する経営資源にかかわらず、外部環境によって決定される。
イ
情報的経営資源は、複数の事業で共有するとその価値が低下するため、多角化の推進力にはならない。
ウ
多角化の動機の 1 つとして、社内に存在する未利用資源の活用があげられる。
エ
多角化は規模の経済を利用するために行われる。
出典:中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ウ
解説
ア:×
多角化の収益性は外部環境だけで決まるわけではない。自社の保有資源・能力(コアコンピタンス)との適合や移転可能性が重要で、資源ベースの視点が欠落している。
イ:×
情報的資源(知識、データ、ブランド知識等)は非競合・非減耗の性質を持ち、事業間共有でスコープの経済を生みやすい。価値が低下するから推進力にならないというのは誤り。
ウ:〇
未利用資源(余剰人員・設備・知的資産・ブランド資産等)の活用は典型的な多角化動機。遊休資源を別事業で活かして全社効率を高める。
エ:×
多角化の主要根拠は規模の経済よりもスコープの経済(資源・能力の事業間共有)で説明される。規模の経済は同一事業の拡大に関する概念で、多角化の一般的動機とは言いにくい。
学習のポイント
- 多角化の狙い
余剰・未利用資源の活用、リスク分散、スコープの経済(事業間での資源共有)。 - 資源ベースの視点
コアコンピタンスの隣接領域へ展開する「関連多角化」が収益性に結びつきやすい。 - 規模とスコープの違い
規模の経済=同一事業の量的拡大、スコープの経済=複数事業での資源共有。 - 試験対策のコツ
「未利用資源=多角化動機」「スコープの経済=多角化の理屈」を短語で押さえる。