難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(コア製品/コア・コンピタンス)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(資源・能力の強化循環)
第4問
G.ハメル(G. Hamel)とC.K.プラハラード(C. K. Prahalad)によると、コア製品とは、コア・コンピタンスによって生み出された製品であり、最終製品の一部を形成するものである。
このコア製品に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
コア製品で獲得したマーケットシェアが、最終製品で獲得したマーケットシェアを上回ることはない。
イ
コア製品のマーケットシェアを拡大することは、コア製品への投資機会の増加につながり、コア・コンピタンスを強化する機会になる。
ウ
コア製品は、特定の製品や業界につながっているものであり、複数の製品や業界に展開することはない。
エ
コア製品を同業他社に販売すると、コア製品を販売した企業の最終製品の競争力は低下する。
出典:中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:イ
解説
ア:×
コア製品は多くの最終製品・複数企業に採用されうるため、当該コア製品市場でのシェアが自社最終製品のシェアを上回ることもあり得る。「上回ることはない」という断定は不適切。
イ:〇
コア製品のシェア拡大は、スケール効果・学習効果・投資回収可能性を高め、コア・コンピタンス(中核能力)の強化機会となる。適切。
ウ:×
コア製品は複数の最終製品・業界に展開できる“プラットフォーム”的性格を持つ。特定製品・業界に限定されるというのは誤り。
エ:×
同業他社への販売はスケール拡大・標準化による強化につながる場合がある。必ず競争力が低下するわけではない。差別化は最終製品設計や補完資源で維持可能。
学習のポイント
- コア製品の位置づけ:
コア・コンピタンスから派生し、複数の最終製品に組み込まれる中間製品・プラットフォーム。 - シェア拡大の効果:
スケール・学習・投資余力の増加を通じてコア・コンピタンスを強化する好循環。 - 外販と競争力:
コア製品を外販しても、最終製品側の設計・ブランド・補完資源で差別化は可能。一律に不利ではない。 - 関連展開の考え方:
コア製品は異業種・多製品への応用が効く。隣接領域への展開でポートフォリオ全体の競争力を底上げする。