過去問解説(企業経営理論)_2021年(令和3年) 第14問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(組織論の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(バーナード理論)

第14問

組織の参加者が、自分の行為を決定するものとして組織内の伝達を受け入れるかどうかは、その伝達を権威あるものとして受容するかどうかに依存している。C.I.バーナード(C. I. Barnard)が主張した伝達の特徴としての権威に関する記述として、最も適切なものはどれか。


権威が受容されるためには、意思決定に当たり、伝達の内容が組織目的と矛盾しないと参加者が信じることが必要である。
権威は、伝達の内容が参加者の個人的利害に反する場合でも、その命令に従わせる能力を意味する。
参加者の無関心圏の範囲では、命令は権威あるものとして受容される。
命令の一元性が確保されていれば、権威は職位によって決まるので、部下は上位の管理職から発せられる命令に従う。
リーダーシップの権威とは、個人の知識や専門能力とは別に、リーダーの地位にその源泉が求められる。

出典: 中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
 バーナードは「権威受容説」を唱え、命令が権威として受容されるためには、参加者がその内容を組織目的と矛盾しないと信じることが必要とした。適切。

イ:×
 権威は「強制力」ではなく、受容されるかどうかに依存する。個人的利害に反しても従わせる能力という理解は誤り。

ウ:×
 「無関心圏」では命令は抵抗なく受け入れられるが、これは権威の定義そのものではなく、権威が成立する条件の一部。記述は不正確。

エ:×
 権威は職位に自動的に付与されるものではなく、受容されるかどうかに依存する。命令の一元性だけで決まるわけではない。

オ:×
 リーダーシップの権威は地位だけでなく、知識や能力、信頼など多様な源泉に基づく。記述は不適切。


学習のポイント

  • バーナードの権威受容説:
    権威は「上位者が持つもの」ではなく、「部下が受け入れるかどうか」で成立する。
  • 権威成立の条件:
    命令が理解可能であること、組織目的と矛盾しないと信じられること、個人的利害と両立すること、実行可能であること。
  • 無関心圏:
    参加者が特に利害を感じない範囲では、命令は抵抗なく受け入れられる。
  • 試験対策のコツ:
    「権威=受容されて初めて成立」という視点を押さえる。