過去問解説(企業経営理論)_2021年(令和3年) 第15問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(組織形態の理解)
  • 正答率: ★★★☆☆(正答率60%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(組織戦略の基礎)

第15問

経営戦略に関連する組織の運営・設置に関する記述として、最も適切なものはどれか。


A.D.チャンドラー(A. D. Chandler)の「組織は戦略に従う」という命題に基づけば、事業の多角化が進んだ企業では事業部制組織が採用され、地理的拡大が進んだ企業では機能(職能)別組織が採用されることになる。
機能(職能)別組織において、各機能部門長は事業戦略の策定・執行に関する最終責任を負っている。
事業部制組織とカンパニー制組織は類似した特性を有するが、両者の最大の違いは、事業部制組織では各事業部が企業内部の下部組織であるのに対して、カンパニー制組織では各カンパニーが独立した法人格を有している点にある。
プロダクト・マネジャー制組織とは、研究開発型ベンチャー企業における事業部制組織のことであり、責任者であるプロダクト・マネジャーは、研究開発の成果に関する責任を有している。
持株会社は、その設立に関して一定の制限が定められているものの、規模の下限は設定されていないことから、中小企業においても目的に応じて活用することができる。

出典: 中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:オ


解説

ア:×
 チャンドラーの命題「組織は戦略に従う」に基づけば、事業の多角化では事業部制、地理的拡大では地域別組織が一般的。記述の「機能別組織」は誤り。

イ:×
 機能別組織では、各部門長は自部門の責任を負うが、事業戦略全体の最終責任は経営トップにある。記述は不適切。

ウ:×
 カンパニー制組織は法人格を持たず、企業内部の分社的組織形態。法人格を有するのは子会社。記述は誤り。

エ:×
 プロダクト・マネジャー制は製品ごとに責任者を置く制度であり、研究開発型ベンチャーに限定されない。研究開発成果のみの責任者でもない。記述は誤り。

オ:〇
 持株会社は設立に一定の制限はあるが、規模の下限はなく、中小企業でも目的に応じて活用可能。記述は正しい。


学習のポイント

  • チャンドラーの命題:
    戦略の変化に応じて組織形態が変わる。多角化=事業部制、地理的拡大=地域別組織。
  • 機能別組織:
    部門長は自部門の責任を負うが、全社戦略の責任はトップにある。
  • 事業部制とカンパニー制:
    カンパニー制は内部組織で法人格を持たない。法人格を持つのは子会社。
  • プロダクト・マネジャー制:
    製品ごとに責任者を置き、マーケティングや開発を統合的に管理する制度。
  • 持株会社:
    中小企業でも活用可能で、グループ経営や事業承継の手段としても用いられる。