過去問解説(企業経営理論)_2021年(令和3年) 第35問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(広告の種類と心理効果)
  • 正答率: ★★★☆☆(正答率60%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(広告戦略の基礎)

解答

  • 設問1:ウ
  • 設問2:ウ

解説(設問1)

ア:×
 デジタル・ネイティブ世代でも紙媒体広告が全く影響しないわけではない。広告効果は媒体特性と接触状況に依存する。

イ:×
 おとり広告は、数量や販売時間を制限する場合も規制対象となる。記述は誤り。

ウ:〇
 公共広告は社会的課題の理解や解決を目的とし、ACジャパンなどが実施。広告主には業界団体や企業も含まれる。正しい記述。

エ:×
 パブリシティは媒体側の編集判断で掲載されるため、広告より信頼性が高いとされる。一方で「ペイド・パブリシティ」は有料で情報を掲載する形態であり、通常の広告と同様に企業が内容をコントロールできる。したがって「通常の広告より信頼性が低い」と断定するのは誤りである。


解説(設問2)

ア:×
 高関与の消費者は恐怖訴求の方が効果的であり、低関与の消費者にはユーモアや軽いメッセージの方が受け入れられやすい。記述は逆転している。

イ:×
 説得意図を強く感じる広告は、態度が一致している消費者には強化効果があるが、態度が曖昧な消費者が必ず逆方向に変化するわけではない。心理的リアクタンスは状況依存であり、一般化しすぎている。

ウ:〇
 高額商品の購入後に生じる「認知的不協和」を軽減するため、消費者は自分の選択を正当化する行動をとる。広告の「自分へのご褒美」といったメッセージは、この心理に働きかけ、購買後の満足感を高める効果がある。

エ:×
 両面提示広告では、低関与製品でも高関与製品でも「最後にポジティブ情報を提示」する方が効果的とされる。記述のように関与度によって順序を逆にする整理は誤り。

オ:×
 単純接触効果は、関心が低いブランドであっても接触回数が増えるほど好意度が高まる傾向がある。ネガティブになるとするのは誤り。

学習のポイント

  • 広告の種類
    ・公共広告:社会的課題の理解・解決を目的とする。ACジャパンなどが代表例。
    ・パブリシティ:媒体側の判断で掲載されるため信頼性が高い。
  • 消費者心理と広告効果
    ・認知的不協和:高額購入後の後ろめたさを正当化するために広告を利用する。
    ・単純接触効果:繰り返し接触することで好意度が上がる。
  • 試験対策のコツ
    「公共広告=ACジャパン」「認知的不協和=購買後の正当化」「単純接触=好意度上昇」というキーワードで整理すると理解しやすい。