過去問解説(企業経営理論)_2021年(令和3年) 第36問

難易度・正答率・重要度

難易度: ★★★☆☆(ブランド価値構造の理解)
正答率: ★★★☆☆(正答率60%前後)
重要度: ★★★☆☆(地域ブランド戦略の基礎)


第36問

地域ブランディングの具体的な構築プロセスを示すためには、地域ブランドが有する価値構造を分析し、長期的視点で価値創造のためのプランを描く必要がある。
下記の図は、基本価値、便宜価値、感覚価値、観念価値の4つの価値によって構成される製品のブランド価値構造を示したものである。
これら4つの価値を居住に関連する地域空間ブランドに当てはめて考えてみた場合、以下の具体例a~dのどれと対応するか。最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。

観念価値 感覚価値 便宜価値 基本価値

【地域空間ブランドにおける価値の具体例】

  • a 非日常性や癒やしなど地域にまつわるイメージ
  • b 地域の立地条件や交通アクセスの良さ
  • c 地域が有するストーリーへの共感や自己啓発の場としての愛着
  • d 地域の居住性に関わるライフラインの充実度

〔解答群〕

基本価値-a  便宜価値-d  感覚価値-b  観念価値-c
基本価値-a  便宜価値-d  感覚価値-c  観念価値-b
基本価値-b  便宜価値-d  感覚価値-c  観念価値-a
基本価値-d  便宜価値-b  感覚価値-a  観念価値-c
基本価値-d  便宜価値-b  感覚価値-c  観念価値-a

出典: 中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:エ


解説

  • 基本価値(d:ライフラインの充実度)
    地域に住む上で最低限必要な価値。水道・電気・ガス・通信などのライフラインは居住性の根幹を支える。
  • 便宜価値(b:立地条件や交通アクセス)
    利便性に関わる価値。交通アクセスや立地条件は生活や移動のしやすさに直結する。
  • 感覚価値(a:非日常性や癒やしのイメージ)
    感覚的・情緒的な価値。観光や居住における癒やし・快適さ・非日常性が該当する。
  • 観念価値(c:ストーリーへの共感や愛着)
    地域の歴史や文化、ストーリーに共感し、自己実現やアイデンティティ形成につながる価値。

学習のポイント

基本価値=生活基盤(ライフライン・安全性)
便宜価値=利便性(交通・立地条件)
感覚価値=情緒的体験(癒やし・非日常)
観念価値=共感・物語性(歴史・文化・愛着)

・地域ブランド戦略では、これら4つの価値をバランスよく組み合わせることで、居住者・訪問者双方にとって魅力的なブランドを形成できる。
・試験対策では「基本=基盤」「便宜=利便」「感覚=情緒」「観念=共感」と整理して覚えると効果的。