難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(顧客関係管理の理解)
- 正答率: ★★★☆☆(正答率60%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(CRM・ロイヤルティ戦略)
解答
- 設問1:オ
- 設問2:エ
解説(設問1)
ア:×
顧客シェアは「ある顧客の購買総額に占める自社の割合」を意味する。移動サービス全体を考慮する必要があり、航空会社間だけに限定するのは誤り。
イ:×
インターネット通販は利便性が高いが、すべての顧客にとって価値が高いとは限らない。配送待ちや実物確認不可などの制約もある。
ウ:×
顧客生涯価値(CLV)は「顧客1人が生涯にわたり企業にもたらす利益の現在価値」を指す。既存顧客と潜在顧客を合算するのは誤りであり、また高所得=必ずしも高CLVではない。購買頻度や継続性が重要。
エ:×
顧客価値は「顧客が感じる価値=ベネフィット-コスト」であり、企業にとっての収益性を直接意味するものではない。記述は顧客価値と顧客収益性を混同している。
オ:〇
顧客満足は「期待と実際のパフォーマンスの差」で決まるが、事前期待そのものが満足度に影響することもある。特に経験財や信頼財のように事前評価が難しい場合、期待が満足度を強く規定する。
解説(設問2)
ア:×
真のロイヤルティと見せかけのロイヤルティは区別される。顧客価値・満足を通じて形成されるのは基本的に真のロイヤルティであり、見せかけのロイヤルティは価格や立地など外的要因による。
イ:×
収益性分析の対象は購買履歴のある顧客だが、潜在的ロイヤルティ顧客はまだ購買していないため含まれない。
ウ:×
潜在的ロイヤルティ顧客は有望だが、すべてをリスト化して個別勧誘するのは非効率。市場条件を整備し、自然に購買に結びつける戦略が適切。
エ:〇
見せかけのロイヤルティを持つ赤字顧客には、サービス制限や価格調整で収益性を確保することが望ましい。退出を促す戦略もCRM上の合理的対応である。
学習のポイント
- 顧客価値と顧客満足
顧客価値=ベネフィット-コスト。顧客満足=期待と実際の差。経験財では期待が満足度に直結する。 - 顧客ロイヤルティの分類
・真のロイヤルティ:態度的にも行動的にも忠誠。
・見せかけのロイヤルティ:外的要因で一時的に継続。
・潜在的ロイヤルティ:態度は好意的だが行動が伴わない。 - 顧客生涯価値(CLV)
高所得よりも「継続購買・頻度・利益率」が重要。 - CRM戦略の実務
赤字顧客にはサービス制限や価格調整で対応。優良顧客には関係強化投資を集中。 - 試験対策のコツ
「顧客価値=ベネフィット-コスト」「満足=期待と実際の差」「ロイヤルティは真・見せかけ・潜在の3分類」と整理すると理解しやすい。