過去問解説(経済学・経済政策)_2021年(R3年) 第9問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(外国貿易乗数の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(用語の適用に注意)
  • 重要度: ★★★☆☆(輸出入のGDP・収支への影響)

問題文

生産物市場における輸出入の変化が GDP や貿易収支に与える影響に関する記述として、最も適切なものはどれか。

輸出と輸入が同規模で増加するとき、外国貿易乗数は 1 になる。
輸出の増加は、輸出の増加分に外国貿易乗数を乗じた大きさだけ貿易収支を改善させる。
輸入の増加は、輸入の増加分に外国貿易乗数を乗じた大きさだけ自国の GDP を減少させる。
輸入の増加は、輸入の増加分に外国貿易乗数を乗じた大きさだけ貿易収支を悪化させる。

出典:中小企業診断協会|2021年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解:ウ

解説

  • ア:×
    外国貿易乗数の値は消費性向や輸入性向に依存し、「輸出と輸入が同規模で増加」しても乗数が1になるとは限らない。
  • イ:×
    乗数がかかるのはGDPへの効果。貿易収支は「輸出の直接増加−誘発された輸入増」で変化するため、輸出増に乗数をかけた分だけ改善するわけではない。
  • ウ:〇
    輸入の自律的増加は総需要を直接押し下げ、GDPは外国貿易乗数を通じてその増加額に比例して減少する。
  • エ:×
    輸入増による貿易収支の悪化は輸入の直接増加分が基本。乗数はGDPの変化に関する係数であり、貿易収支の変化にそのまま乗じる考え方は誤り。

学習のポイント

  • 乗数の適用範囲: 乗数はGDPの変化に適用。
  • 直感の整理: 自律的な輸入増はADを減らす→GDPは乗数で減少。輸出増はADを増やす→GDPは乗数で増加。