過去問解説(経営法務)_2022年(R4年) 第9問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する。)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい。)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)

問題文

特許法に関する記述として、最も適切なものはどれか。


専用実施権者は、自己の専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対して、その侵害の停止又は予防を請求することができない。
特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができる。
特許権者がその特許権について、専用実施権を設定し、その専用実施権の登録がなされた場合、当該設定行為で定めた範囲内において、特許権者と専用実施権者とは、業としてその特許発明の実施をする権利を共有する。
未成年者は特許を受ける権利の権利主体となることができない。

出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:イ
特許権が共有に係る場合、契約で別段の定めがなければ、各共有者は他の共有者の同意なく実施できる。


解説

ア:×
専用実施権者は、自己の権利を侵害する者に対して、差止請求や予防請求を行うことができる。請求できないとする記述は誤り。

イ:〇
特許権が共有されている場合、契約で別段の定めがなければ、各共有者は他の共有者の同意を得ずに実施可能。これは特許法の基本的な考え方であり、正しい記述。

ウ:×
専用実施権が設定された場合、特許権者と専用実施権者が権利を「共有する」わけではない。専用実施権者は定められた範囲で独占的に実施できるが、共有関係にはならない。

エ:×
未成年者も特許を受ける権利の主体となることができる。年齢による制限はなく、法人・個人を問わず認められている。


学習のポイント

  • 特許権の共有に関する規定は、契約の有無によって実施の可否が変わるため、実務上も重要。
  • 専用実施権者は、特許権者に準じた権利行使が可能であり、差止請求権も含まれる。
  • 専用実施権は「共有」ではなく「独占的な実施権」である点に注意。
  • 特許を受ける権利は、未成年者を含むすべての自然人・法人に認められる。