難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(基本知識の組み合わせ。やや思考を要する。)
- 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい。)
- 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)
問題文
以下の会話は、発明家である甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話の中の空欄に入る記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
甲氏:「私は便利な掃除用具を発明しました。われながらとても良いアイデアであり、特許を取ってみたいと考えています。そこで質問があります。
実はこの発明を1か月前に発明展に展示してしまいました。そのときはまだ特許を取るなんて全然考えていなかったので、発明展に自発的に応募して出品しました。しかし、先週になって特許を取りたいと思うようになりました。
新規性がないということで、この発明の特許を取得することは無理でしょうか。この発明展は1週間にわたり開催されました。一般に開放したので、老若男女問わず多くの来場者がありました。新規性を喪失しても救済される制度が特許法にあると聞きました。この制度について教えていただけないでしょうか。」
あなた:「発明の新規性喪失の例外規定ですね。A。知り合いの弁理士をご紹介しましょうか。」
〔解答群〕
出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:ア
新規性喪失の例外規定は、自己の行為による公開でも適用可能。出願は1年以内。
解説
ア:〇
新規性を喪失した日から1年以内に特許出願すれば、例外規定の適用を受けられる。自己の行為による公開でも、所定の手続を満たせば救済される。正しい記述。
イ:×
期間が誤り。新規性喪失の例外規定は1年以内の出願が必要。さらに、自己の行為による公開も対象となるため、「意に反して」のみに限定する記述も誤り。
ウ:×
期間が誤り。18か月ではなく1年以内の出願が必要。その他の記述は正しいが、期間の誤りにより不適切。
エ:×
期間が誤り。2年ではなく1年以内の出願が必要。また、「意に反して」のみに限定する記述も誤り。
学習のポイント
- 特許法には、新規性喪失の例外規定があり、自己の行為による公開でも所定の手続を満たせば救済される。
- 出願は公開から1年以内が原則。期間の誤認に注意。
- 「意に反して」だけでなく、「自己の行為による公開」も対象となる点が重要。
- 展示会・発表・出版など、公開の形態を問わず、制度の趣旨と要件を正確に理解しておくことが求められる。