難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★☆☆☆☆(基礎知識問題)
- 正答率: ★★★★★(正答率80%以上)
- 重要度: ★★★☆☆(環境分析の基本フレーム)
問題文
組織内外の環境を分析するための枠組み(フレームワーク)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
「PEST フレームワーク」では、企業を取り巻く外部環境を、政治、経済、社会、技術の観点から分析する。
イ
「VRIO フレームワーク」によると、経営資源について、経済的価値が認められるか、希少性が高いか、模倣が困難であるか、その経営資源を活用できる組織能力があるか、という条件のうち、1つでも満たされていれば持続的競争優位に資する経営資源と判断される。
ウ
「戦略分析の 3 C」はマーケティング環境を分析するための枠組みであり、資本、顧客、競合に着眼して分析を行う。
エ
M.ポーターが提示した「価値連鎖(Value Chain)」は、価値がどの機能で生み出されるかを可視化する分析枠組みであり、購入物流、製造、出荷物流、サービスなどの主要活動と、技術開発、人事・労務管理、調達活動、販売・マーケティングなどの支援活動から構成される。
オ
M.ポーターによる「5つの競争要因(Five Forces)」は、当該業界の成長性を決定する諸要因である。
出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ア
解説
ア:〇
PESTフレームワークは、外部環境を「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」の観点から分析する枠組み。マクロ環境分析の基本。
イ:×
VRIOフレームワークは「価値(Value)」「希少性(Rarity)」「模倣困難性(Imitability)」「組織(Organization)」の4条件をすべて満たす場合に持続的競争優位となる。1つでも満たせばよいというのは誤り。
ウ:×
3C分析は「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3視点。資本は含まれない。
エ:×
バリューチェーンの主要活動は「購買物流」「製造」「出荷物流」「販売・マーケティング」「サービス」。支援活動は「全般管理」「人事・労務管理」「技術開発」「調達」。設問の記述は一部誤り。
オ:×
5 Forcesは業界の「収益性(競争の強さ)」を規定する要因であり、成長性を決定するものではない。
学習のポイント
- PEST分析
マクロ環境を4視点で整理。PESTEL(法規制・環境を加えた拡張版)もある。 - VRIO分析
持続的競争優位には4条件すべてが必要。 - 3C分析
顧客・競合・自社の3視点で市場環境を把握。 - バリューチェーン
主要活動と支援活動に分け、どこで価値が生まれるかを分析。 - 5 Forces
業界の収益性を規定する5つの競争要因(新規参入、代替品、買い手、売り手、競合他社)。