難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(市場シェアと競争戦略の基礎)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(チャレンジャー戦略の定番)
問題文
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
消費財を生産・販売するX業界における市場シェア(占有率)は、以下のとおりである。
A社 45% / B社 30% / C社 15% / D社 10%
なお、B社はA社と比較して市場シェアでは劣るものの、製品技術の面では、X業界でA社と対抗できるだけの経営資源を保有している。
(設問1)
X業界におけるB社の相対市場シェアとして、最も適切なものはどれか。なお、小数点第3位を四捨五入とする。
(設問2)
X業界におけるB社の市場地位や状況を前提とした場合、B社の戦略として最も適切なものはどれか。
出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
- 設問1:ウ
- 設問2:ア
解説(設問1)
ア:×
相対市場シェアは「自社シェア ÷ 最大競争相手のシェア」。B社は 0.30 ÷ 0.45 = 0.666… であり、0.30ではない。
イ:×
0.30 ÷ 0.90 などの誤計算に近い数値。定義に沿えば 0.33 にはならない。
ウ:〇
0.30 ÷ 0.45 = 0.666… → 小数点第3位四捨五入で 0.67 が正しい。
エ:×
1.50 は 0.45 ÷ 0.30 の逆比。相対市場シェアの定義に反する。
オ:×
2.00 は極端に過大で、計算根拠がない。
解説(設問2)
ア:〇
B社は技術力を有するチャレンジャー。資源の分散投入は非効率で、弱点のある特定セグメントに集中攻撃(ニッチ集中・選択的専門化)が有効。
イ:×
フォロワー戦略はリーダーを避け模倣・低価格で利を取る立場。B社は対抗可能な技術資源を持ち、シェア拡大を狙うなら受動的な回避は不適切。
ウ:×
同質化は差別化を弱め、価格競争に陥る。チャレンジャーは差別化・集中により弱点突きを図るのが定石。
エ:×
シェルフ獲得の交渉力はリーダーほど強くない。B社の地位では一律に有利とはいえない。
オ:×
規模の経済・経験曲線はリーダーに優位。B社が即座にコスト優位を確立するのは現実的でない。
学習のポイント
- 相対市場シェアの定義
自社シェアを最大競争相手のシェアで割る。計算と四捨五入の指示に注意する。 - チャレンジャーの基本戦略
全方位ではなく「脆弱セグメントへの集中」。差別化軸を明確化し、選択と集中で攻勢をかける。 - リーダー・フォロワーとの力学
リーダーは規模や流通交渉力で優位。フォロワーは模倣・低価格で対抗。チャレンジャーは差別化・集中でシェア奪取を狙う。