過去問解説(企業経営理論)_2022年(令和4年) 第9問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(破壊的技術の基礎理解)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(技術戦略の定番理論)

問題文

C.M.クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』(The Innovatorʼs Dilemma)に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。


a 破壊的技術が登場した初期段階においては、破壊的技術を利用した製品の性能の方が持続的技術を利用した製品の性能よりも低い。

b 破壊的技術が登場した初期段階においては、破壊的技術を利用した製品市場の方が持続的技術が対象とする製品市場よりも小規模である。

c 破壊的技術が登場した初期段階においては、破壊的技術を利用した製品の方が持続的技術を利用した製品よりも利益率が低い。


〔解答群〕

a:正  b:正  c:正
a:正  b:誤  c:正
a:誤  b:正  c:誤
a:誤  b:誤  c:正
a:誤  b:誤  c:誤

出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

a:正
 初期の破壊的技術は、既存顧客が重視する性能指標では劣ることが多い。一方で、低価格・利便性・新用途など別の価値で支持を得る。

b:正
 破壊的技術は当初、既存市場の主流より小規模なニッチや新興セグメントで採用が進む。主流市場は持続的技術が中心。

c:正
 初期の破壊的技術は価格水準が低く、規模も小さいため利益率が低くなりがち。既存大企業が投資を見送りやすい理由の一つ。


学習のポイント

  • 破壊的技術の初期特性
    既存評価軸では性能劣後・市場小規模・利益率低め。
  • 価値の乗り換え
    低価格・シンプルさ・新用途など別軸の価値で浸透し、性能軸もやがて主流要求を満たす水準に到達する。
  • 大企業が陥る罠
    主要顧客の声と短期収益性を優先する意思決定が、破壊的技術への投資を遅らせる。