難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(組織論の基礎)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(バーナード理論の定番)
問題文
C.I.バーナードは組織における個人の権威の受容について、無関心圏(zone of indifference)が重要な役割を果たすとしている。無関心圏に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
個人にとって受容可能な命令が継続的に発せられると、次第に無関心圏の範囲が狭くなっていく傾向がある。
イ
個人にとって無関心圏にある職務は無視され、遂行される可能性が低くなるので、無関心圏をいかに小さくするかが組織の存続にとって重要になる。
ウ
個人の無関心圏に属する命令は、権威の有無を問われることなく受容される傾向がある。
エ
無関心圏にある職務に対しては、個人のコミットメントは低くなるから、無関心圏の存在は組織の存続にとって負の影響を与える。
オ
無関心圏にある職務を個人に遂行してもらうためには、個人の貢献を大きく上回る誘因を提供する必要がある。
出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ウ
解説
ア:×
受容可能な命令が続けば、むしろ無関心圏は広がる傾向にある。狭くなるというのは誤り。
イ:×
無関心圏にある命令は抵抗なく受容されるため、無関心圏を小さくする必要はない。
ウ:〇
無関心圏に属する命令は、権威の有無を問わず受容されやすい。バーナードが示した権威受容の重要概念。
エ:×
無関心圏は組織の円滑な運営を支えるものであり、負の影響を与えるものではない。
オ:×
無関心圏にある命令は特別な誘因を与えなくても受容される。大きな誘因は不要。
学習のポイント
- 無関心圏(zone of indifference)
個人が命令の内容を深く吟味せず、当然のこととして受容する範囲。 - 権威の受容条件(バーナード)
命令が理解可能であること、組織目的と矛盾しないこと、個人の利益と両立すること、遂行可能であること。 - 無関心圏の意義
命令が無条件に受容される範囲が広いほど、組織は円滑に機能する。 - 試験対策のコツ
「無関心圏=抵抗なく受容される範囲」「広いほど組織に有利」というキーワードを押さえる。