過去問解説(企業経営理論)_2022年(令和4年) 第15問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(組織論の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(境界役割の理解)

問題文

組織セットモデルにおける渉外担当者(boundary personnel)の概念と機能に関する記述として、最も適切なものはどれか。


渉外担当者は、組織内外の接点に位置するゲートキーパーとしての役割を持つため、組織革新の誘導者となることもある。
渉外担当者は、その組織の顔として組織を代表するものであるから、法的な代表権を有する必要がある。
渉外担当者は、他組織の脅威から当該組織を防衛するという境界維持機能を果たすため、外部環境とは距離を置き、組織内のメンバーと同質性を保つ必要がある。
渉外担当者は、自らは不確実性を処理する権限を持たず、外部環境の状態や変化を組織内に正確に伝える役割を果たす必要がある。
渉外担当者を通じた組織間関係は、市場関係を通じた調整ではなく、権限関係を通じた調整によって維持される。

出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
 渉外担当者(boundary personnel)は、組織と外部環境の接点に位置し、情報の出入口を管理するゲートキーパー的役割を持つ。そのため、外部知識や新しい情報を取り込み、組織革新の誘導者となることもある。

イ:×
 渉外担当者は必ずしも法的代表権を持つ必要はない。役割は情報収集・伝達や関係調整である。

ウ:×
 外部環境と距離を置くのではなく、むしろ外部との接触を通じて情報を取り込むことが重要。

エ:×
 渉外担当者は単なる伝達者ではなく、不確実性を処理し、情報を選別・解釈して組織に伝える役割を担う。

オ:×
 渉外担当者を通じた関係は市場関係や交渉・調整によって維持される。権限関係による調整ではない。


学習のポイント

  • 渉外担当者(boundary personnel)の役割
    組織と外部環境の接点に立ち、情報の収集・伝達・解釈を行う。
  • ゲートキーパー機能
    外部からの情報を選別し、組織に取り込む。新しい知識や技術を導入することで革新を促す。
  • 境界役割の重要性
    外部環境の変化を敏感に察知し、組織の適応力を高める。
  • 試験対策のコツ
    「boundary personnel=ゲートキーパー」「革新の誘導者」というキーワードを押さえる。