過去問解説(企業経営理論)_2022年(令和4年) 第21問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(職務設計・勤務形態の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(モチベーション理論と人事施策の接点)

問題文

仕事へのモチベーションを高めるための職務再設計の方法と、従業員の柔軟な働き方を可能にする勤務形態に関する記述として、最も適切なものはどれか。


顧客と直接的な関係性を築けるように従業員の職務を設計することは、従業員が自らの職務の実績を自律的に評価できる機会につながるため、仕事へのモチベーションを高めるのに有効である。
職務拡大とは、仕事の流れに従って従業員が担当するタスクの数を量的に増やすことではなく、より大きな責任と権限を従業員に与えることで、仕事へのモチベーションを高めることを指す。
ジョブシェアリングでは、個人的な事情に応じて従業員が勤務時間を自由に設定できる権利を保証するため、フルタイムでの勤務が困難な子育て中の従業員の雇用機会を広げることができる。
ジョブローテーションとは、職務の垂直的な拡大を通じた専門職人材の育成を目的として、より高度な技能と責任が求められる職務に従業員を配置転換することである。
フレックスタイム制の欠点とは、他部門との関わりが限定され自部門内で完結する職務に従事する従業員に適用することができない点である。

出典: 中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
 職務設計において「フィードバック」や「タスクの有意味性」を高めることはモチベーション向上に有効。顧客と直接関わることで成果を自律的に評価でき、達成感や責任感が強まる。

イ:×
 職務拡大(ジョブ・エンラージメント)はタスクの量的拡大を指す。責任や権限の拡大は「職務充実(ジョブ・エンリッチメント)」。

ウ:×
 ジョブシェアリングは1つの職務を複数人で分担する制度。勤務時間を自由に設定する制度は「フレックスタイム制」。

エ:×
 ジョブローテーションは部門間異動などを通じて経験を広げる制度。垂直的拡大や高度責任の付与はジョブ・エンリッチメント。

オ:×
 フレックスタイム制は勤務時間帯を柔軟に設定できる制度であり、部門内外の関わりの有無とは無関係。


学習のポイント

  • 職務拡大(ジョブ・エンラージメント)
    タスクの数を増やす「量的拡大」。
  • 職務充実(ジョブ・エンリッチメント)
    権限や責任を増やす「質的拡大」。
  • ジョブシェアリング
    1つの職務を複数人で分担。ワークライフバランス支援。
  • ジョブローテーション
    部門間異動で幅広い経験を積ませる。専門性より汎用性育成。
  • フレックスタイム制
    始業・終業時刻を柔軟に設定可能。ワークスタイルの多様化に対応。
  • 試験対策のコツ
    「エンラージメント=量的拡大」「エンリッチメント=質的拡大」「顧客接点=モチベーション向上」と整理して覚える。