過去問解説(企業経営理論)_2022年(令和4年) 第23問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★☆☆☆☆(労基法の基本)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率75%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(人事労務の必須知識)

問題文

労働基準法の定めに関する記述として、最も適切なものはどれか。


使用者により明示された労働条件が事実と相違する場合に、労働者が労働契約を解除するためには、労働契約を解除する日の 30 日前までにその予告をしなければならないと規定されている。
使用者は、労働時間が 6 時間を超える場合においては少なくとも 45 分、 8 時間を超える場合においては少なくとも 1 時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないと規定されている。
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、または公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては拒んではならず、選挙権の行使は国民の重要な権利であるから、その時間の給与は支払わなければならないと規定されている。
労働基準法で定める労働条件の基準に達しない労働条件を定めた労働契約は、当該基準に達しない部分のみならず、労働契約全体が無効となると規定されている。

出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:×
 労働条件の明示内容と事実が相違する場合、労働者は契約を即時解除できる趣旨であり、「30日前予告」を要するのは使用者による解雇の規定。労働者の解除に適用されない。

イ:〇
 休憩は「6時間超で45分以上」「8時間超で1時間以上」を途中に付与する義務があるため、最も適切。

ウ:×
 公民権の行使や公の職務の執行に必要な時間は拒めないが、賃金支払い義務までは規定されていない(就業規則等の定めによる)。

エ:×
 労基法基準に達しない部分は無効となり、当該部分は法定基準で置き換えられる。契約全体が無効とはならない。


学習のポイント

  • 休憩付与義務
    6時間超=45分以上、8時間超=1時間以上。労働時間の途中に付与。
  • 契約解除・解雇の区別
    労働者の解除と使用者の解雇で要件が異なる。解雇は原則30日前予告。
  • 公民権行使
    時間の付与は義務だが、賃金支払いは法定必須ではない。
  • 基準不達の契約
    不達部分のみ無効→法定基準に改定。契約全体無効ではない。