過去問解説(企業経営理論)_2022年(令和4年) 第24問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(労働基準法の基礎知識)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(人事労務の必須論点)

問題文

就業規則に関する記述として、最も適切なものはどれか。


就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
常時10人以上の労働者を使用する使用者が作成する就業規則に記載する事項について、退職手当の定めをしない場合には、解雇の事由を含めて、退職に関する事項を記載する必要はない。
常時10人以上の労働者を使用する使用者が就業規則を作成して届出をする際には、当該事業場に労働組合がない場合は、当該事業場の労働者の過半数を代表する者が当該就業規則の内容に同意した旨を記載した書面を添付しなければならない。
使用者は、就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し又は備え付けることによって周知しなければならない。就業規則を確認できるパソコン等を常時各作業場に設置して周知する場合には、別途、労働者に対して就業規則を書面にて交付しなければならない。

出典: 中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
 労基法第91条に基づき、減給の制裁は「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」と規定されている。

イ:×
 就業規則の絶対的必要記載事項には「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」が含まれる。退職手当の有無にかかわらず記載が必要。

ウ:×
 就業規則の届出には、労働組合または過半数代表者の「意見書」を添付する必要があるが、「同意書」ではない。意見を聴取すれば足りる。

エ:×
 就業規則の周知方法は「掲示・備付け・書面交付・磁気媒体交付」などが認められている。パソコン等で確認できる状態であれば周知義務を満たし、別途書面交付は不要。


学習のポイント

  • 減給の制裁の上限
    ・1回の額:平均賃金の1日分の半額まで
    ・総額:1賃金支払期の総額の10分の1まで
  • 就業規則の必要記載事項
    ・絶対的必要記載事項:労働時間、賃金、退職(解雇事由含む)など
    ・相対的必要記載事項:退職手当、賞与、安全衛生など
  • 届出時の意見聴取
    ・労働組合があればその意見を聴取
    ・なければ過半数代表者の意見を聴取
    ・「同意」までは不要
  • 周知義務の方法
    ・掲示、備付け、書面交付、電子媒体交付のいずれかで可
    ・パソコン等で確認できれば周知義務を満たす