過去問解説(企業経営理論)_2022年(令和4年) 第27問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★☆☆☆☆(マーケティング基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率75%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(消費者行動の基本論点)

問題文

消費者行動における準拠集団に関する記述として、最も適切なものはどれか。


準拠集団とは、消費者の評価や願望、行動に重要な影響を及ぼす実在または想像上の集団を指す。実在する特定の個人から受ける影響は、準拠集団による影響には含まれない。
準拠集団は、実際の知り合いから構成される集団と、自らが所属していないが憧れを抱いている集団とに分類することができる。前者は所属集団、後者は理想集団と呼ばれる。
消費者が準拠集団から受ける影響の1つに、行動や価値観の伝播がある。これは、準拠集団に属する人々と似た行動をとったり、同じブランドを購入したりすることなどを指し、価値表出的影響と呼ばれる。
消費者が準拠集団から受ける影響の1つに、情緒の伝播がある。これは、準拠集団に属する人々の感情に共感することによる影響であり、功利的影響と呼ばれる。

出典: 中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:×
 準拠集団には実在する個人の影響も含まれる。特定の人物(友人や有名人など)が準拠集団として機能する場合もある。

イ:×
 準拠集団の分類は「所属集団」「理想集団」などがあるが、設問の説明はやや不正確。所属集団は実際に属している集団、理想集団は憧れの対象であり、分類の説明としては不十分。

ウ:〇
 準拠集団からの影響には「情報的影響」「規範的影響」「価値表出的影響」がある。設問の「似た行動をとる」「同じブランドを購入する」といった行動は、自己概念やアイデンティティを表現するための価値表出的影響に該当する。

エ:×
 情緒的な共感は準拠集団の影響の一部ではあるが、「功利的影響」とは呼ばれない。功利的影響は報酬や制裁を通じた行動規範的な影響を指す。


学習のポイント

  • 準拠集団の定義
    消費者の態度・行動・価値観に影響を与える実在または想像上の集団。
  • 準拠集団の影響の3分類
    ・情報的影響:知識や情報の提供による影響
    ・規範的影響:承認や制裁を通じた行動規範的な影響
    ・価値表出的影響:自己概念やアイデンティティを表現するための影響
  • 試験対策のコツ
    「価値表出的影響=ブランドや行動を通じた自己表現」と覚えると整理しやすい。