難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(サービス・マーケティングの基礎)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(顧客満足と価値創造)
問題文
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、さまざまな業界において消費者の需要が低迷する中、多くの企業が製品やサービスを見直したり、新規事業を立ち上げたりすることによって、高い顧客満足を達成し、新たな顧客を獲得しようと考えている。
(設問1)
文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。
(設問2)
文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
- 設問1:正解 ア
- 設問2:正解 ア
解説(設問1)
ア:〇
製品販売後の使用・消費段階まで含めて価値を設計する「製造業のサービス化(サービタイゼーション)」は近年の重要な潮流。顧客体験全体を視野に入れることで新たな価値を創出できる。
イ:×
「真実の瞬間」とはサービス提供の接点での顧客体験を指すが、購入・支払い時点に限定されない。
ウ:×
知覚品質は主観的評価であり、デジタル提供でも消費者ごとに異なる。統一的になるわけではない。
エ:×
サービスの消滅性は「在庫できない」特性を指す。SNSで記録・共有できても、サービスそのものを保存・再提供できるわけではない。
オ:×
信用財とは、提供後も品質評価が困難な財を指す。高級ブランドや高価格サービスに限らず、医療や法律サービスなども含まれる。
解説(設問2)
ア:〇
高い顧客価値の提供により満足が高まった場合、形成されるロイヤルティは「真のロイヤルティ」となり、単なる利便性や価格要因で一時的に選ばれる「見せかけのロイヤルティ」とは区別される。したがって、この記述は適切である。
イ:×
顧客満足を維持するために顧客の声を収集することは重要だが、すべての要望を実現することは現実的ではなく、必ずしも満足度向上につながるとは限らない。
ウ:×
サービスの品質は事前に完全に把握できるものではなく、利用前には不確実性が残る。品質も満足も利用後に評価される要素が大きいため、記述は不正確。
エ:×
長期利用は必ずしも高い満足を意味しない。スイッチングコストや代替の少なさによって継続利用している場合もある。
オ:×
顧客満足はサービス品質の測定に用いられるが、製品品質に対しても顧客満足調査は広く活用されている。製品に限定して用いられないというのは誤り。
学習のポイント
- 製造業のサービス化
製品販売後の利用・体験まで含めて価値を設計する発想。顧客体験全体を重視する。 - サービスの特性
無形性・不可分性・異質性・消滅性。SNSで記録できても「在庫できない」特性は残る。 - 財の分類
探索財(購入前に品質が分かる)、経験財(使用後に分かる)、信用財(使用後も評価困難)。 - 顧客満足とロイヤルティ
・真のロイヤルティ:高い満足に基づく継続利用・推奨
・見せかけのロイヤルティ:価格や利便性など外的要因による一時的継続 - 試験対策のコツ
「サービスの特性」「財の分類」「真のロイヤルティと見せかけのロイヤルティの違い」を整理して覚えることが重要。