難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(製品開発プロセスの基礎)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(新製品開発とプロセス設計)
第34問
製品開発のリスクを少しでも低くするためには、市場環境を適切に把握した上で、効率的な開発プロセスが必要である。 顧客ニーズの移り変わりが早く、競争の激しい今日の市場においては、①従来型の典型的開発プロセスにとらわれない②新たな開発プロセスが採用されることもある。
(設問1)
文中の下線部①を示した下図の空欄A~Dに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
- ア A:アイデア・スクリーニング / B:コンセプトの開発とテスト / C:プロトタイプの開発 / D:事業性の分析
- イ A:アイデア・スクリーニング / B:コンセプトの開発とテスト / C:事業性の分析 / D:プロトタイプの開発
- ウ A:コンセプトの開発とテスト / B:アイデア・スクリーニング / C:プロトタイプの開発 / D:事業性の分析
- エ A:事業性の分析 / B:アイデア・スクリーニング / C:プロトタイプの開発 / D:コンセプトの開発とテスト
- オ A:事業性の分析 / B:コンセプトの開発とテスト / C:アイデア・スクリーニング / D:プロトタイプの開発
(設問2)
文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
- 設問1:正解 イ
- 設問2:正解 エ
解説(設問1)
ア:×
コンセプト検証の直後にプロトタイプへ進み、事業性の分析が最後という並びは一般的な段階ゲートと整合しない。
イ:〇
標準的な流れは「アイデア・スクリーニング → コンセプトの開発とテスト → 事業性の分析 → プロトタイプの開発 → 市場テスト → 市場導入」。投資前に事業性評価を挟むのが合理的。
ウ:×
スクリーニングより先にコンセプト開発・テストを置くのは前後が逆。まず粗選別で絞り込む。
エ:×
最初に事業性分析を置くと、アイデアの粗選別やコンセプト成形の前工程を飛ばすことになり不自然。
オ:×
スクリーニングがコンセプト検証の後に来る構成は不合理。選別→検証→分析→試作の順が基本。
解説(設問2)
ア:×
不特定多数の外部参加を広く募るのは「オープン・イノベーション」や「クラウドソーシング」。ユーザーイノベーションはユーザー自身が主体的に改良・創造する概念。
イ:×
直列のウォーターフォール型は変化が激しい市場では機会損失・手戻り増加のリスクが高い。並行・反復的プロセスが適する。
ウ:×
補完性・適合性の重視は正しいが、シーズ志向かニーズ志向かはケース依存で、一般化は不適切。
エ:〇
クロスファンクショナルな同時並行(コンカレント)開発では、利害調整の難度から緊張・コンフリクトが生じやすい一方、スピードと市場適合性の向上が見込める。
学習のポイント
- 標準的NPDの順序
アイデア創出→スクリーニング→コンセプト開発・テスト→事業性分析→プロトタイプ→市場テスト→市場導入。順序問題は暗記で確実に。 - ウォーターフォールとコンカレントの使い分け
変化が緩やか・規制が厳格なら直列、変化が速い・不確実性が高いなら並行・反復(アジャイル/コンカレント)。 - 用語の峻別
ユーザーイノベーション=ユーザー主体の改良・創造。オープン・イノベーション/クラウドソーシング=外部資源の広範活用。語の取り違えに注意。 - クロスファンクショナルの設計
早期連携で手戻り削減・市場適合性向上。役割・権限・合意形成ルールを明確にしてコンフリクトを制御。 - 試験対策のコツ
直列(段階ゲート)と並列(同時進行)の長短を整理し、用語定義の正確さで判断する。