過去問解説(企業経営理論)_2022年(令和4年) 第36問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★☆☆☆☆(地域ブランドの基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率75%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(地域資源活用の定番論点)

第36問

地域ブランドに関する記述として、最も適切なものはどれか。


地域空間のブランド化では、隣接する地域と連携することで相乗効果を発揮できることはあるが、飛び地など隣接していない地域との連携はブランドイメージが希釈されるため、協力し合うことはない。
地域ブランドのコミュニケーションや販路拡大の実行を担当するのは、地域代理店や地域商社であり、これらはすべて地方自治体組織である。
地域ブランドは、地域自体を意味する地域空間ブランドと、地域が生み出すモノやサービスを意味する地域産品ブランドとに区別される。
地域を他の全国の地域から差別化しブランド化を図るためには、地域の自然、遺跡、農畜産物、海産物などの多様な資源の中から全国でナンバーワンとなるような資源を見つけることが必須である。
ブランド化を目指す地域産品を選定する際に行われる地域資源の棚卸しでは、外部者の目ではなく、その地域を熟知している地元住民の目を通して選定していくという作業が必要である。

出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:×
 地域ブランドは必ずしも隣接地域に限定されない。飛び地や非隣接地域でも共通テーマ(歴史・文化・産品など)で連携し、広域ブランドを形成する事例は多い。

イ:×
 地域ブランドの販路拡大やコミュニケーションは、必ずしも自治体組織が担うわけではなく、民間企業・団体・地域商社など多様な主体が関与する。

ウ:〇
 地域ブランドは「地域空間ブランド(地域そのものの魅力)」と「地域産品ブランド(地域が生み出すモノやサービス)」に大別される。これは地域ブランド論の基本的区分。

エ:×
 全国ナンバーワン資源の有無は必須条件ではない。むしろ「独自性」「ストーリー性」「地域らしさ」が差別化の鍵となる。

オ:×
 地域資源の棚卸しでは、地元住民の視点に加え、外部者の視点も重要。外部からの評価や新鮮な視点がブランド価値を高める。


学習のポイント

  • 地域ブランドの二分類
    ・地域空間ブランド:観光地・歴史・文化・自然など地域そのものの魅力
    ・地域産品ブランド:農産物・工芸品・食品など地域が生み出すモノやサービス
  • ブランド形成の要素
    ・独自性(他地域との差別化)
    ・ストーリー性(歴史・文化・背景の物語)
    ・信頼性(品質保証・認証制度)
  • 広域連携の重要性
    隣接地域に限らず、テーマや資源を共有する地域同士での連携がブランド力を高める。
  • 棚卸しの視点
    内部(住民・事業者)と外部(観光客・専門家)の両視点を組み合わせることで、より客観的で魅力的な資源選定が可能。
  • 試験対策のコツ
    「地域空間ブランド」と「地域産品ブランド」の区別を正確に覚えることが最重要。