過去問解説(経済学・経済政策)_2022年(R4年) 第19問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(資本移動と限界生産物)
  • 正答率: ★★★☆☆(図と理論の対応)
  • 重要度: ★★★★☆(資源配分と厚生)

問題文

下図によって、資本移動の自由化の効果を考える。最も単純なケースを想定して、世界にはⅠ国とⅡ国があり、両国とも生産要素として資本と労働を利用して同一財を生産しており、労働投入量は一定であるとする。
下図で、MPKⅠと MPKⅡ は、Ⅰ国とⅡ国の資本の限界生産物曲線であり、いずれも資本の限界生産物は逓減すると仮定している(財の国内価格は、いずれも 1 とする)。
資本市場を開放しない場合、Ⅰ国とⅡ国の保有する資本量はそれぞれ OⅠC と OⅡC であり、このときの資本のレンタル料はそれぞれ rⅠと rⅡである。

資本移動の自由化の効果に関する記述として、最も適切な組み合わせを下記の解答群から選べ。

資本移動の自由化によって、Ⅰ国からⅡ国への資本移動が生じ、資本のレンタル料はⅠ国が r*Ⅰ、Ⅱ国が r*Ⅱになる。
資本移動の結果、労働者の賃金所得は、Ⅰ国では四角形 OⅠr*ⅠHC に増加し、Ⅱ国では四角形 OⅡr*ⅡHC に減少する。
資本移動の結果、資本所有者のレンタル所得は、Ⅰ国では三角形 AEr*Ⅰに減少し、Ⅱ国では三角形 BEr*Ⅱに増加する。
資本移動の自由化によって、世界全体で三角形 EFG の所得が増加する。

〔解答群〕

aとb
aとc
aとd
bとd
cとd

出典: 中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解:ウ(a:〇/b:×/c:×/d:〇)

解説

  • a:〇
     資本移動の自由化により、資本の限界生産物が高いⅡ国へ資本が移動する。結果として両国の資本レンタル料は均衡し、共通の水準 r* に収束する。
  • b:×
     資本移動により、Ⅰ国では資本が減少し、労働の限界生産物が低下 → 賃金所得は減少。Ⅱ国では資本が増加し、労働の限界生産物が上昇 → 賃金所得は増加。よって記述は逆で誤り。
  • c:×
     Ⅰ国では資本が流出するため、資本所有者のレンタル所得は減少(三角形AEr*)。Ⅱ国では資本が流入するが、増加分のレンタル所得は三角形BEではなく、より小さい面積である。記述は不正確。
  • d:〇
     資本移動により、世界全体の資源配分が効率化され、限界生産物の差が縮小。結果として、三角形EFG分の厚生(所得)が増加する。

学習のポイント

  • MPK(限界資本生産物)逓減: 資本が増えるほど追加生産力は低下。
  • 資本移動の効果: 高MPK国へ資本が移動 → 両国のMPKが均衡。
  • 厚生増加: 世界全体で資源配分が効率化 → 総所得が増加。
  • 試験対策: 図中の面積(三角形・四角形)と経済的意味(賃金・レンタル料・厚生)を対応させる。