過去問解説(経済学・経済政策)_2022年(R4年) 第21問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(情報の非対称性の基本)
  • 正答率: ★★★★☆(典型論点)
  • 重要度: ★★★☆☆(逆選択とモラルハザードの区別)

問題文

情報の非対称性がもたらす逆選択に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

自動車保険における免責事項には、保険の契約後に生じる逆選択を減らす効果が期待できる。
医療保険制度を任意保険ではなく強制保険にすることには、病気になるリスクの高い人のみが医療保険に加入するという逆選択を減らす効果が期待できる。
企業が新たに従業員を雇う際に、履歴書だけではなく、その応募者のことをよく知っている人からの推薦状を求めることには、見込み違いの従業員を雇ってしまうという逆選択を減らすことが期待できる。

〔解答群〕

a:正  b:正  c:誤
a:正  b:誤  c:正
a:誤  b:正  c:正
a:誤  b:正  c:誤
a:誤  b:誤  c:正

出典: 中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|経済学・経営政策(PDF)

解答

  • 正解:ウ(a:×/b:〇/c:〇)

解説

  • a:×
    免責事項(自己負担や免責金額)は、契約「後」の行動を抑制する仕組みで、主にモラルハザード(事故を起こしやすくなるなどの行動の変化)を減らすための設計。逆選択は契約「前」の情報の非対称により高リスク者だけが加入しやすくなる問題で、免責では直接抑えにくい。
  • b:〇
    強制保険にすると、低リスク者も高リスク者も広く加入するため、加入者が高リスク者に偏る(任意保険で起こりがちな)逆選択を緩和できる。母集団を強制的に広げることで、平均リスクが安定する。
  • c:〇
    推薦状などの第三者情報は、応募者の能力・勤労態度などの「見えにくい質」を雇用側に伝えるシグナル/スクリーニングとして機能し、質の低い応募者のみが残ってしまう逆選択のリスクを低減する。

学習のポイント

  • 逆選択(adverse selection): 契約前の情報の非対称が原因。高リスク者が市場に残りやすくなる。
  • モラルハザード(moral hazard): 契約後の行動変化が原因。免責・自己負担・共同保険などで抑制。
  • 対策の類型: 強制加入、情報開示・審査、推薦状・実績データなどで逆選択を緩和。