難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★★☆☆(企業価値評価モデルの理解が必要)
- 正答率: ★★★☆☆(配当政策と株式価値の関係を誤解しやすい)
- 重要度: ★★★★☆(割引超過利益モデルは頻出論点)
問題文
企業価値評価における割引超過利益モデルに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
クリーン・サープラス関係が成り立つ場合、配当性向が高いほど株式価値は高くなる。
イ
クリーン・サープラス関係が成り立つ場合、配当割引モデルから割引超過利益モデルを導出することができる。
ウ
将来の配当がゼロの場合でも株式価値を求めることができる。
エ
毎期の予想利益が、自己資本に自己資本コストを乗じた額を上回るならば、株式価値は当期自己資本簿価を上回る。
出典: 中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|財務・会計(PDF)
解答
正解:ア
解説
- ア:×
クリーン・サープラス関係の下でも、株式価値は「当期簿価+割引超過利益の現在価値」で決まる。配当性向を高めると内部留保が減り、将来の超過利益(利益−自己資本コスト×自己資本)が縮小しやすく、株式価値が高くなるとは限らない。配当政策は価値中立であるのが基本前提。 - イ:〇
配当割引モデルはクリーン・サープラス関係を用いて、配当の現在価値を「簿価と超過利益の現在価値」に再表現できる。よって導出可能。 - ウ:〇
割引超過利益モデルは配当がゼロでも、利益と自己資本コストの差(超過利益)を割り引くことで株式価値を評価できる。 - エ:〇
毎期の予想利益が自己資本コストを上回るなら超過利益が正となり、その現在価値が簿価に上乗せされるため、株式価値は当期自己資本簿価を上回る。
学習のポイント
- モデルの骨子
株式価値=当期自己資本簿価+超過利益の割引現在価値。 - クリーン・サープラス
期首簿価+利益−配当=期末簿価。これにより配当割引モデルと整合。 - 配当政策
割引超過利益モデルでは、配当性向の変更は内部留保と将来利益に影響するが、前提が保たれれば価値は原則中立。