過去問解説(経営法務)_2023年(R5年) 第7問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)

問題文

独占禁止法が定める課徴金減免制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。

なお、令和2年12月25日改正後の制度によるものとし、本問においては、いわゆる調査協力減算制度における協力度合いに応じた減算率は考慮しないものとする。


課徴金減免制度における申請方法は、所定の報告書を公正取引委員会に郵送又は持参することにより提出する方法に限られ、電話により口頭で伝える方法や電子メールにより所定の報告書を送信する方法は認められていない。
課徴金減免制度の対象は、いわゆるカルテルや入札談合といった不当な取引制限行為の他に、優越的地位の濫用行為も含まれる。
調査開始後に課徴金減免申請を行った場合、調査開始前に課徴金減免申請を行った者がおらず、かつ、調査開始後の課徴金減免申請の申請順位が1位の場合であっても、申請順位に応じた課徴金の減免を一切受けることはできない。
調査開始前に単独で課徴金減免申請を行い、その申請順位が1位の場合、申請順位に応じた減免率は100%(全額免除)である。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:✕
 課徴金減免制度の申請は、郵送・持参に限られず、電子メールや口頭(電話)による申請も認められている。申請方法が限定されているとする本肢は誤り。

イ:✕
 課徴金減免制度の対象は、カルテルや入札談合などの不当な取引制限行為に限られ、優越的地位の濫用行為は対象外である。対象範囲を誤って拡大しているため、本肢は誤り。

ウ:✕
 調査開始後であっても、申請順位が1位であれば減免の対象となる。調査開始前の申請者がいない場合は、調査開始後の1位申請者が減免を受けられるため、本肢は誤り。

エ:〇
 調査開始前に単独で課徴金減免申請を行い、申請順位が1位の場合は、減免率100%(全額免除)となる。これは改正後制度における基本的な規定であり、正しい記述である。


学習のポイント

  • 課徴金減免制度は、カルテル・談合などの不当な取引制限行為が対象。
  • 申請方法は柔軟で、郵送・持参以外にも電子メールや口頭申請が可能。
  • 調査開始前の申請順位1位は100%免除。調査開始後でも順位に応じた減免がある。
  • 優越的地位の濫用は課徴金減免制度の対象外である点に注意。