過去問解説(経営法務)_2023年(R5年) 第9問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★☆☆(頻出ではないが、学習価値が高い。)

問題文

特許法に関する記述として、最も適切なものはどれか。


物の発明において、その物を輸出する行為は、その発明の実施行為に該当しない。
物の発明において、その物を輸入する行為は、その発明の実施行為に該当しない。
物を生産する装置の発明において、その装置により生産した物を譲渡する行為は、その発明の実施行為に該当しない。
物を生産する方法の発明において、その方法を使用する行為は、その発明の実施行為に該当しない。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:✕
 物の発明において、その物を輸出する行為は「実施」に該当する(特許法第2条第3項)。該当しないとする本肢は誤り。

イ:✕
 物の発明において、その物を輸入する行為も「実施」に該当する。該当しないとする本肢は誤り。

ウ:〇
 装置の発明において、その装置により生産された物を譲渡する行為は、装置そのものの実施には該当しない。装置の発明は装置の製造・使用・譲渡等が対象であり、装置の成果物の譲渡は含まれない。正しい記述である。

エ:✕
 方法の発明において、その方法を使用する行為は「実施」に該当する。該当しないとする本肢は誤り。


学習のポイント

  • 特許法における「実施」の定義は、発明の類型(物・方法・装置)によって異なる。
  • 装置の発明では、装置自体の使用が対象であり、装置によって生産された物の譲渡は含まれない。
  • 輸出・輸入・譲渡・使用などの行為が「実施」に該当するかどうかは、条文ベースで整理しておくこと。