過去問解説(経営法務)_2023年(R5年) 第11問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)

問題文

特許法に関する記述として、最も適切なものはどれか。


特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なくても、その持分を譲渡することができる。
特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができない。
特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、特許法第38条の規定により、他の共有者と共同でなくとも、特許出願をすることができる。
特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なくても、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、仮専用実施権を設定することができる。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:✕
 特許権が共有に係る場合、持分の譲渡は他の共有者の同意なしに可能である。よって本肢は一見正しいように見えるが、実際には制度上の制限があるため、誤りとされている。

イ:〇
 特許権が共有に係る場合、通常実施権の許諾には他の共有者の同意が必要である。これは共有者間の権利調整のための規定であり、正しい記述である。

ウ:✕
 特許を受ける権利が共有に係る場合、出願は共有者全員の共同で行う必要がある。単独での出願は認められていないため、本肢は誤り。

エ:✕
 仮専用実施権の設定には、他の共有者の同意が必要である。単独で設定できるとする本肢は誤り。


学習のポイント

  • 特許権の共有に関する制度は、譲渡・実施・許諾などで異なる規定がある。
  • 通常実施権の許諾には共有者全員の同意が必要。
  • 特許を受ける権利の共有では、出願や仮専用実施権の設定にも共同性が求められる。
  • 共有に関する条文の趣旨を整理し、誤解しやすい部分を重点的に確認すること。