過去問解説(経営法務)_2023年(R5年) 第13問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)

問題文

商標法に関する記述として、最も適切なものはどれか。


商標登録出願人は、商標登録出願を意匠登録出願に変更することができる旨が、商標法に規定されている。
商標法には出願公開制度が規定されている。
商標法の目的を規定した商標法第1条は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図ることを目的として規定しており、需要者の利益を保護することまでは目的として規定していない。
防護標章登録出願人は、査定又は審決が確定した後でもその防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができる旨が、商標法に規定されている。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:✕
 商標登録出願を意匠登録出願に変更する制度は存在しない。商標法にはそのような規定はなく、制度上も両者は独立している。よって本肢は誤り。

イ:〇
 商標法には出願公開制度が規定されている。これは、出願から一定期間経過後に出願内容を公開する制度であり、正しい記述である。

ウ:✕
 商標法第1条では、業務上の信用の維持だけでなく、需要者の利益の保護も目的として規定されている。需要者保護を否定する本肢は誤り。

エ:✕
 防護標章登録出願を商標登録出願に変更することはできない。査定や審決の確定後であっても、出願の性質を変更する制度は商標法には規定されていない。


学習のポイント

  • 商標法には出願公開制度がある点を押さえる。
  • 商標法の目的には「需要者の利益の保護」も含まれる。
  • 商標・意匠・防護標章はそれぞれ独立した制度であり、出願変更はできない。
  • 条文の趣旨と制度の構造を整理して、誤認しやすい表現に注意すること。