過去問解説(企業経営理論)_2023年(令和5年) 第1問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(基本概念の整理)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度:★★★☆☆(コーポレート戦略の基礎)

問題文

ドメインに関する記述として、最も適切なものはどれか。


PPM を用いた事業間の資源配分の決定を基に、企業ドメインが決定される。
企業ドメインには、多角化の広がりの程度、個別事業の競争戦略の方針、差別化の在り方および日常のオペレーションといった内容が含まれる。
経営者は事業間でシナジー効果がどれくらい働くのかを考えて、企業ドメインを決定する。
事業ドメインには、部門横断的な活動や他の事業分野との関連性、将来の企業のあるべき姿や経営理念といった内容が含まれる。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:×
 PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)は既存事業の資源配分に用いる分析枠組みであり、企業ドメインの決定に先立つ上位概念(企業の事業領域の定義)を規定するものではない。

イ:×
 企業ドメインは「どの事業領域に取り組むか」という範囲・方向性の定義であり、個別事業の競争戦略や日常のオペレーションは事業ドメイン/事業戦略の範疇で扱う内容である。

ウ:〇
 企業ドメインの決定では、事業間の関連性や共有資源により生じるシナジー(相乗効果)を重視し、統合の利点が発揮できる事業領域を選ぶ。

エ:×
 部門横断的活動や他事業分野との関連性、企業理念・将来像は企業ドメイン/コーポレートレベルの要素であり、事業ドメインの内容ではない。


学習のポイント

企業ドメインの定義
 企業が取り組む事業領域の範囲と方向性(何を・どこで・誰に)を規定する上位概念。

事業ドメインとの違い
 企業ドメインは全社の事業範囲、事業ドメインは個別事業の対象顧客・機能・技術の具体化。

PPMの位置づけ
 企業ドメインが定まった後、各事業の投資配分や撤退判断に活用する分析ツール。

シナジーの考え方
 共有資源・ブランド・チャネル・技術の横展開で相乗効果を生む組み合わせを選好する。