過去問解説(企業経営理論)_2023年(令和5年) 第6問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(先行者優位の条件整理)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度:★★★☆☆(競争戦略の基礎)

問題文

企業の先行者優位性に関する記述として、最も適切なものはどれか。


技術が特許によって保護される状況では、技術の模倣や売買が不可能であるため、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。
顧客側のスイッチングコストが高い状況では、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。
顧客の嗜好の変化や新しい顧客ニーズが次々に生まれる状況では、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。
先行者の投資に対して後発者が大きく「ただ乗り」できる状況では、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。
非連続的な技術革新が頻繁に起こる状況では、先行者となる企業の優位性が維持されやすい。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:×
 特許は模倣を制限するが、ライセンス契約や代替技術の登場もあり「模倣や売買が不可能」とまでは言えない。

イ:〇
 スイッチングコストが高いと顧客は他社に乗り換えにくく、先行者が獲得した顧客基盤を維持しやすい。典型的な先行者優位の要因。

ウ:×
 嗜好変化や新ニーズが頻発すると、既存製品の優位性は陳腐化しやすく、先行者優位は維持されにくい。

エ:×
 後発者が容易にフリーライドできる状況では、先行者の投資が報われず優位性は弱まる。

オ:×
 非連続的な技術革新が頻発すると、既存技術の優位性は失われやすく、むしろ後発が有利になる。


学習のポイント

先行者優位の典型要因
 スイッチングコスト、ネットワーク効果、ブランド認知、経験曲線効果などがある

先行者不利の要因
 技術革新の速さ、顧客嗜好の変化、後発の模倣容易性

試験対策の視点
 「顧客が離れにくい仕組み」があるかどうかを基準に判断すると正解にたどり着きやすい