過去問解説(企業経営理論)_2023年(令和5年) 第10問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(ネットワーク効果の理解)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度:★★★☆☆(プラットフォーム戦略の基礎)

問題文

プラットフォームを用いた戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。


1つのプラットフォームには、同業者だけを参加させる方が効果的かつ効率的である。
参加者がプラットフォームから得られる効用は、参加者が増加するにつれて指数関数的に増加する。
プラットフォームに参加する人が増えるほど、参加者がそのプラットフォームから得られる効用が増加することをフレーミング効果と呼ぶ。
プラットフォームは社会にとっての価値を生み出すものなので、規制は必要とされない。
プラットフォームを用いたビジネスでは、サービスの受益者には課金されない。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:×
 プラットフォームは異業種・異なる参加者を巻き込むことで価値が高まる。参加者を同業に限定するとネットワーク効果が弱まる。

イ:〇
 ネットワーク効果により、参加者が増えるほど効用が増加する。特に両面市場では指数関数的に価値が拡大することがある。

ウ:×
 効用増加は「ネットワーク効果」と呼ばれる。フレーミング効果は心理学用語で、提示方法による判断の変化を指す。

エ:×
 プラットフォームは独占化や情報偏在などのリスクがあり、規制やルール設計が必要とされる。

オ:×
 受益者が必ず無課金とは限らない。片側無料モデルもあるが、両側課金やサブスクリプションなど多様な収益化手法がある。


学習のポイント

ネットワーク効果
 参加者数が増えるほど効用が増す。特に両面市場では一方の増加が他方の価値を高める。

プラットフォームの収益化
 片側無料(広告モデル)、両側課金、フリーミアムなど多様な形態がある。

規制の必要性
 独占・囲い込み・情報の非対称性などの弊害があるため、社会的ルールや規制が重要。

試験対策の視点
 「ネットワーク効果」と「フレーミング効果」の混同に注意。心理学用語と経営戦略用語を区別する。